ざっくり言うと
- モンテッソーリ教育は環境が大事。おうちモンテ環境の整え方を教えます!
- 重視するのは「色彩」「本物」「扱いやすさ」
- 良いおもちゃに出会うのはおもちゃ売り場だけじゃない
ここ数年で一気に一般的になったモンテッソーリ教育。評判のよいお教室を検索したり、体験教室に行かれたりした方も多いのではないでしょうか。
モンテッソーリ教育を受けさせたいと思った時、「おうちモンテ始めようかな」と思う方も多いと思います。が、そこで躓きやすいのが子供たちのお仕事に必要な「モンテッソーリ教具」。かなり高価なものが多く、それこそ高い月謝を払ってもモンテッソーリのお教室に通う必要がありそうな気がします。
でも実はモンテッソーリ教具が無くても、ゆる~く、でもポイントを押さえて、自宅でモンテッソーリを取り入れることができますよ!
実際にモンテッソーリ系の乳幼児教室で講師していた私が、自宅で息子たちに行っていた、おうちモンテの取り入れ方をお伝えします。
おうちモンテは環境を整えることから始める
モンテッソーリ教育において、大人がやるべき最も重要な仕事は「子どもがやりたいことを最大限できる環境を整えること」だとされています。ここでいう環境を整えるというのは、高価なモンテッソーリ教具を買いそろえることではありません。子どもたちがいかにやりたいことに没頭できる環境をつくれるかということが大事になってきます。
そのために、まずはお子さんたちのスペースを整えることから始めましょう。
(1)収納棚を変えるだけで行動が変わる
「うちの子集中力がなくて…」や「これといって好きな物がないんですよね」と相談を受けた時、まず私が聞くのはおもちゃの収納方法についてです。
この記事を読んでくださっている方の中に、「大きなカゴや箱などに、なんとなく種類ごとにまとめて入れている」という方はいませんか?それ、もったいないですよ!!!
集中力がない・好きな物がないと思っているのは、遊びたいおもちゃを探すときに他のおもちゃに気を取られているからかもしれません。まずは、おもちゃの収納をカゴではなく、ディスプレイが可能な棚に変えてみてください。モンテッソーリ教育では、子どもが自分自身でやりたいことを選び、スムーズにスタートできるようにすべての教具が見える状態で陳列されています。
パッと見て、どのようなおもちゃがあるのか分かることで、お子さんが「最近よく遊ぶもの」「集中しやすいもの」が分かりやすくなりますよ。「え、それなの?」という予想外のおもちゃで、よく遊ぶようになるかもしれません。
どんな感じの棚がおすすめか載せておきますね!
また、各教具を置くトレイもあると、おしごとする際に自分自身で子どもが運びやすいのでおすすめです。
(2)おしごとの場所を明確にする
子どもたちが「遊ぶ」ことを、モンテッソーリ教育的には「おしごと」と言いますが、その「おしごと」を行う場所を明確にすることが必要です。
キッズスペースにラグやジョイントマットを敷いている方も多いと思いますが、椅子に座れるようになったら是非取り入れてほしいのが「机」と「椅子」です。
机は集中力を阻害しないためにも、壁向きに設置しましょう。おしごとをやる場所も明確になり、自主的に取り組むことが増え、集中もより高まりますよ。机と椅子があればいいかというのではなく、机・椅子選びにもポイントがあります。
机:木製、ナチュラル色または明るい色のモノ
椅子:木製、自分で引ける、両足が座った時にきちんと床につくもの
今は様々なメーカーからキッズデスクが販売されているので、好みのものを見つけてみて下さい。
高価な物を選ぶ必要はなく、それよりは体の成長に合わせて買い替えていける方が良いと思います。もちろん中古品でOK。ちょうど良いサイズにすることで、正しい姿勢で体に負担なく座ることができる点も安心です。
幼少期から、椅子に座る習慣があると、その後学習に繋がっても安心ですね。
(3)おもちゃの数は少なくていい
ディスプレイできるおもちゃ棚をおすすめすると、たまに「その収納方法だと、おもちゃが入りきらないです」という方がいらっしゃいます。ディスプレイ収納は、箱やカゴでの収納に比べるとどうしても収納量は減ってしまいます。
ですが…それで良いです!メインとなるおもちゃの数は思い切って減らしてしまいましょう!
まずはおもちゃの収納を変えることで、どこに何があったのか、すぐに手に取れる状態にすることが大切です。
以前の記事でもお伝えしたとおり、モンテッソーリ教育の考えでは「子どもには、自分を育てる力が備わっている」ので、選びやすい環境を整えておけば、発達に必要なものを子供たち自身で選び取ります。つまり、おもちゃ収納を見える状態にすると、どのおもちゃでよく遊ぶのか明確になってきますよ。それが今のお子さんの発達に必要なものということです。
そして、それと同時にあまり遊ばないおもちゃも明確になってきます。あまり遊ばないおもちゃは、お子さんにとって「少し早い」のか「もう過ぎてしまった」のか、とにかく今は必要のない物です。そのような物は、おもちゃ棚からは減らして、二軍おもちゃとして一度まとめてクローゼットに収納してしまいましょう。そのようにして、常におもちゃ棚に置くおもちゃは、少数精鋭にすることを心掛けましょう。できる方は2週間から1か月ごとに、おもちゃを見直して遊び終わり触らなくなったおもちゃと、しまい込んでいたおもちゃを入れ替えたりすると良いですね。
おもちゃを選ぶポイント3つ
では、その少ないおもちゃは今後購入していくとしたら、どんなポイントで選ぶのがいいのでしょうか。口コミや評判などで調べてみるのもアリですが、今回はモンテッソーリ教育でのおもちゃ選びのポイントを簡単にお伝えします。
モンテッソーリ教育の教具は、ほとんどが木や陶器・ガラスといった自然素材で出来ていて、色もとてもシンプル。感覚の敏感な子どもにとって、プラスチックよりも陶器やガラス、木、竹、等、できるだけ自然素材ものを選ぶことで、持った時の手触り、温度、見た目の美しさなども魅力になります。
また色がシンプルなのは子どもの興味や集中力を削がず、本来の使い方に集中するためです。人気キャラクターが描かれたものやうるさい柄のおもちゃなどは、その装飾に気を取られていたりしますよね。
そして、中にはガラスなど割れてしまうようなものも、本物が使われていて、本物は丁寧に使わないと壊れてしまうことを学んでいくのです。
ただいくら本物と言っても扱いにくいのは良くありません。ハサミなどにおいても同様に、大人が使うハサミ同様に切れる機能はそのままの状態で子どもが扱いやすいサイズに作られています。
モンテッソーリ教育を取り入れるのであれば、「色彩がうるさくない」「本物」「扱いやすいサイズ」を重視してみてください。
「どういう教具が良いか具体的に教えてほしい!」という方は以下の本も参考にしてみてください。
良いおもちゃに出会うのは、おもちゃ売り場以外にも
モンテッソーリではおもちゃの代わりに、生活で使う道具や使う動きに近い教具が多くあります(「日常生活の練習」という分野があります)。お裁縫の縫い差しをやったり、ピッチャーで水をあけ移しを行ったり。
「そんなことが楽しいの?」と思われるかもしれませんが、体験教室では市販の可愛らしいおもちゃよりも集中して取り組むお子様が多く、その様子に親御さんが驚かれることも少なくありませんでした。
この体験は、良いおもちゃになる道具をそろえることでおうちモンテに取り入れることができますよ。しかも、それほど高い金額でなく用意できるものがほとんどですよ。
個人的には、良いおもちゃになる道具に出会うのは、おもちゃ売り場以外の方が多い気がしています。
例えばホームセンターの木工エリアで出会ったのは、指先を使う「ねじ回し」やヒノキの香りのする「木のボール」、「つみき」。手芸店では、「紐通し」に使えそうなエンドループ、縫い差しの練習にちょうど良い「とじ針」。
調理道具を購入に行ったお店では、子どもサイズのピッチャー代わりの「計量カップ」など、おもちゃ売り場ではないけど、子どもたちが扱うのに良さそうなものがたくさんあります。
“おもちゃを買うならおもちゃ売り場“という固定観念を取り払って、おもちゃ探しをしてみてください。
おうちモンテを始めたいなという方は、まずはおもちゃの収納方法から見直し、おもちゃの整理をしてみましょう。
すっきりしたおもちゃ棚で遊んでいるお子さんを観察すると、こんな動きが好きそうだなと、気づくことが増えると思います。
それを繰り返していくことで、少しずつ少しずつモンテッソーリ教育の要である「観察」ができるようになりますよ!
次回の記事では、「観察」のコツについて具体的に例をあげつつ、説明していきます。