【モンテッソーリ教育】元乳幼児教室講師がモンテッソーリに向き合った理由

ざっくり言うと

  • モンテッソーリ教育の特徴的な3つのワードと考え方 「自己教育力」「敏感期」「おしごと」
  • 元講師オススメ!モンテッソーリ教育の意外な3大メリット
  • モンテッソーリ教育でワンオペ時間も前向きに!

Microsoft創設者のビル・ゲイツ氏やFacebook共同創設者のマーク・ザッカーバーグ氏など、著名人が受けたことでも有名なモンテッソーリ教育。日本でも数年前にモンテッソーリ教育を受けた藤井総太棋士が活躍したことから、注目が集まりましたね。紹介される著名人に時代を牽引するリーダーが多いですし、乳幼児教室でもモンテッソーリ教育のところは料金が高かったりするので、英才教育のようなイメージを持つ人もいるかもしれません。

今回はモンテッソーリ教育系乳幼児教室の元講師だった私が思う、モンテッソーリ教育の特徴と生徒さんたちの感想や評判・体験から、モンテッソーリ教育の3大メリットについてお伝えします。

1.モンテッソーリ教育の特徴的な3つのワードと考え方

(1)子どもは自分で自分を育てる力(自己教育力)を持っている!

ンテッソーリ教育は医師で教育者だったマリア・モンテッソーリさんが考案した「子どもには、自分を育てる力(自己教育力)が備わっている」という考えがベースの教育法です。100年以上の歴史があり、今では世界各国に広まっています。この自己教育力こそ、モンテッソーリ教育の最大の特徴です。

大人は何かを教えるのではなく、子どもが自分を育てるための環境を整えることが役割だとされています。子どもたちがやることには、全て意味があり、成長するために必要なことをしているという考えです。この自己教育力の考え方は、モンテッソーリ教育の子ども一人ひとりを尊重することに繋がっています。

(2)『敏感期』は能力を伸ばす旬な時期!

子どもの成長過程にはあらかじめプログラムされているような「この能力が発達する時期」というものがあり、モンテッソーリ教育ではこの時期のことを「敏感期」と呼んでいます。食べ物の旬と同じように、人間にも能力を発達させるのに旬(ちょうど良い時期)があるということです。

モンテッソーリ教育では6歳までが敏感期とされ、特に発達の敏感期は3歳までに強く表れると言われています。(旬を逃したら全くできなくなるわけではないので、既にお子さんが3歳を超えてしまった方も気に病む必要はないですよ。)

この敏感期には、子どもの能力が発達して思いがけない行動をすることがあります。トイレットペーパーを1ロール全部引っ張り出してみたり…棚にある物をひとつ残らず全部出してみたり…。思い当たることがあるのではないでしょうか。例えば、これらの行動は引っ張り出すという動作獲得の過程で行われます。この例以外にも子どもの困った行動というのは、発達過程のトレーニングであることが多いのです。

またその困った行動は、能力を獲得するとピタリと終わり、また新たな能力獲得へと移行します。このような、敏感期→トレーニング→獲得というサイクルを繰り返し、子どもたちは様々な発達をしていきますをそのためモンテッソーリ教育では「子どもがやりたいことを最大限できる環境を整えること」が大人の仕事だとされています。

(3)子どもは遊びではなく『おしごと』をしている!

モンテッソーリ教育を行う時に使う知育玩具をモンテッソーリ教具と言います。また教具使って行う活動を「おしごと」と呼んでいます。積み木や糸、文字盤、算数棒、地形板など様々なものがあります。

幼少期は遊ぶなかで学んでいくので、「あそび」でもよいのですが、その行動の重要性や得る物の多さから「おしごと」と呼んでいるのではないかと思います。私はこの「おしごと」という呼び方をかなり気に入っています。子どもがしていることを邪魔してはいけない感じがありますよね。

敏感期に適したおしごとは子どもたちに集中現象を引き起こします。自分でやることをえらぶからこそ、集中しやすくなると思いますが、この集中こそ能力獲得のカギになります。

さらに自己教育力の概念が強く反映されている部分に「子どもに間違いを指摘しない」ということがあります。子どもが教具を本来の使い方と違う使い方をしていた時、講師が「そのやり方は違うよ」「こうやってしてください」などと言わないのです。

子どもたちには、違うやり方をしていると自分で気づいて修正する力があるため、講師は一人一人の発達に合った仕掛けをそっと行い、子どもが自ら気づくのを観察しながら見守ります。

え、見てるだけ?!とも思われますが、この見守る・観察することこそモンテッソーリ教育の考えが詰まっている部分なのです。

2.モンテッソーリ教育の3大メリット

見ているだけに誤解されることもあるモンテッソーリ教育には、数多くのメリットがあります。
私が勤めていた乳幼児教室の生徒さんたちや、私自身の子育てを通しても実感した大きな3つのメリットを紹介します。

(1)子どもの自主性が育つ

モンテッソーリ教育では、大人が子どもにやり方や考えを押し付けることはありません。
子どもがやりたいことこそ、今その子に必要な事という考えなので、自分で何をするのか選ぶことができる環境になっています。その環境が子どもの自主性を育てます。

「人生は選択の連続」ともいわれるほど、私たちはたくさんの選択をして生きています。ねんね期の赤ちゃんもよく観察してみると、実はしっかりと目でやりたいものを主張してくれています。「まだ小さいから選べない」と思わず、子どもが自分で選ぶ機会が増やすことができます。幼少期から自分で選択することは、自分で考え・決断できる力を育み自主性を養うトレーニングにもなりますよ。

(2)子どもの集中がつく

モンテッソーリ教育では子どもがやりたいことを、最大限やれるように環境を整えることが大人の仕事だとされています。子どもたちは「何を」やるかだけでなく、「自分の納得いくまで」物事を進めることができます。(時間的な制約がある場合もありますが)モンテッソーリ教育では声のかけ方にもベストなタイミングがあり、実はおしごと中は集中を削がないように声はかけないのです。周りの大人が声をかけて邪魔することがないので、子どもは存分に集中することができます。

どれだけ集中する経験をしているかが、集中力を伸ばすカギになるので、「モンテッソーリ教育を受けた子は集中力が凄い」と言われるのです。生徒さんのなかには、黙々と編むおしごとに集中し、ひとりで通園バッグサイズを編み切ったお子さんもいらっしゃいました!

(3)親子の時間が楽しくなる

私が講師をしていた乳幼児教室では「子どもとの時間が楽しくなった」「イライラしなくなった」という感想が多くありました。そして、私自身も長男が0歳から1歳半までは夫が単身赴任しておりワンオペ育児でしたが、モンテッソーリ教育を学んだ後は、育児をつらいと思うことが極端に減りました。

モンテッソーリ教育では子どもとの関わり方に大きなポイントがあり、大人は一歩引いた位置から見守りつつ、子どもが自ら学べる環境を整え、子どもの「今何がしたいのか」「どんなことに興味があるか」を観察する必要があります。観察をしていくと、実は子どもの困った行動には、探究欲・自己教育力が関わっていることに気づくことができ、その対処法も学ぶことができます。例えば、引き出しの中身を全部出していく時期、どんな風な収納にしたらいいのか、どんな遊び方をするといいのか…などです。

「英才教育がしたいわけじゃない」「子どもと何したらいいか分からない」という方にこそ、子どもへの声のかけ方や、困った行動から能力の伸ばし方を知ることができるためオススメです。

3.実際にモンテッソーリ教育やってみた感想

私自身も長男出産後、「せっかくの育休中は子どもにも有意義な時間にしたい」と考え、多くの育児書を読み、月齢の近い子と違う部分を不安に思ったり、我が子の困った行動に苛立ちを覚えたりしていました。その中で体験に行ったお教室でモンテッソーリ教育に出会い、子どもの敏感期やそれに対応した「おしごと」を取り入れることで、息子ができることが増え、ワンオペ時間が本当に穏やかで楽しくなりました。

その後ご縁があり乳幼児教室の講師をやらせていただき、たくさんの親子を見てきましたが、つわりの重い・軽い、症状自体も様々という妊娠で感じた個人差と同じように、本当に子どもの発達は個人差が大きいと思います。育児書の『何か月だとコレができる』というのは目安程度に考え、お子さんの敏感期に対応した「おしごと」と、その子の「やりたいことを最大限に」できるように、焦らずゆったりとした気持ちでお子さんと過ごすのがベストだと思いますよ。