ざっくり言うと
- 読書習慣が身につく
- 読解力が身につく
- 学力全般に良い影響を及ぼす
- 勝敗のある運動で達成感や悔しい気持ちなどの感情が生まれる
- 成功体験を重ね自信や意欲が生まれ全般的にポジティブになれる
- 幼少期になり他の子供と運動すると協調性が生まれる
皆さんは普段本を読みますか?テレビ、ビデオ、インターネット等の様々なメディアが普及した為、読書離れが進んでいます。生活環境の変化は大人だけでなく子供にも影響しており、読書離れは子供にも指摘されています。
幼い頃、親から読み聞かせをされた事はないですか?親の温かさを感じながら読み聞かせをされる時間は子供にとって大切な時間であり、最高の思い出です。そんな大切な思い出が子供からなくなってしまうかもしれません。
読み聞かせ効果について文部科学省が推奨している内容がとても素晴らしいものになっています。沢山の人に知ってほしいと思いますので紹介させてください。さあ、本を手に取り読書習慣を取り戻しましょう。
読み聞かせの効果
子供は言葉を耳で覚え吸収します。耳から聞いて具体的なものや場面などをイメージするのです。
こんな話を聞いた事ないですか?
聴覚は最後まで残る感覚という事実。人が最期を迎えた後、数分間だけ聴覚が残っているそうです。五感の中で一番大事な感覚なので、本能的に最後まで残る感覚なのではないでしょうか?
そんな、大事な聴覚に響かせる読み聞かせは効果がないはずがありません。むしろ、沢山の効果があります。
子供の情緒や想像力を育て、言葉と心を育てるのです。
読み聞かせがどのように子供に影響を及ぼすのか詳しくご説明していきます。
読み聞かせは脳科学的に良い
0歳から5歳までの教育が人生を変えると言われています。
幼児教育として読み聞かせが良い理由は、以下の流れによって将来の学力全般に良い影響を及ぼすからです。
絵本の読み聞かせをされると、大脳辺緑系が発達し、記憶や自律神経を司る機能が高まるのです。
本能や人間の情緒(喜怒哀楽)をコントロールする器官でもあり、記憶や自律神経に関係しています。
部位別の役割をご説明します。
部位名 | 役割 |
帯状回 | 意思決定、共感、感情による記憶 |
扁桃体 |
恐怖感、不安、悲しみ、喜び、直観力、痛み、記憶、価値判断、情動の処理、交感神経 |
海馬 | 目、耳、鼻からの短期的記憶や情報の制御、 恐怖・攻撃・性行動・快楽反応 |
海馬傍回 | 風景の記憶、顔の認識 |
まさにその通りです!!
読み聞かせがどのように性格に関係するのかご説明します。
読み聞かせは心を育てる
読み聞かせをされると喜怒哀楽をつかさどる大脳辺縁系が活発になります。大脳辺縁系は心の脳とも言われており、活発になると「嬉しい」「楽しい」「悲しい」「怖い」という感情が理解できるようになります。
生きていく上で「心の脳」は勉強より大事なものです。
登場人物になりきって気持ちを理解したり共感したり、気持ちを汲み取ろうとします。感情や情動が育ち、徐々に個性が出るのです。
心が育つのは子供だけではありません。親の脳も活発になり心の脳が育つのです。
子供の表情や反応を見ながら読んであげてください。
「楽しんで笑ってくれるかな?」「驚いてくれるかな?」「声に強弱をつけたらもっと楽しめるのかな?」「ゆっくり読んだ方が興味を湧きやすいかな?」
こんな風に考えて読む事が心の脳を育てるだけでなく、親子にとって有意義な時間になっていくのです。
読み聞かせ以外に大事な事
読み聞かせはとても良いものですが、読み聞かせだけではいけません。
暮らしの中で言葉を楽しみ遊びを取り入れて、心に届く暖かい語りかけが必要です。絵本と合わせて歌を歌ったり、声掛けの必要があるのです。
お父さんお母さんと楽しみなが言葉に触れる事が言語習得に繋がる第一歩になります。
個人的には、一緒に体を動かす事もオススメします。運動機能や体作りに効果があるのは勿論ですが、心の脳を育てる効果があるのです。
話が少し外れてしまいましたが、子供が楽しくなる事がとても大事です。好きな本、好きな言葉、好きな音楽、好きな運動。子供の興味に合ったものを取り入れるのが効果的に行う秘訣です。
お父さんお母さんの教育方針も大事になります。教育についての関連記事を参考にしていただけたらと思います。
読み聞かせで学力向上?
読み聞かせによる効果を沢山ご紹介しました。ここで1つ、疑問が生まれると思います。
読み聞かせは良いものと分かっていても効果が現れるまで時間が掛かるもの。長く続けるためには、効果があると知った上で行いたいと思います。文部科学省が公表している調査結果をご紹介します。
フィクション(小説・物語など)や新聞を読む生徒の方が…
総合読解力の平均得点が高いことが確認できました。
分かりやすいグラフが文部科学省から公開されていますので、併せて確認していただくと効果がわかります。(ページ11参照)
いろいろな「読み聞かせ」
読み聞かせってただ「本を読んであげる」だけじゃないの?そう思った方も大勢いると思います。確かに「本を読んであげる」ただそれだけの事です。だからこそ言っておきたい事があります。
「本を読んであげる」だけですので、たくさん本を読んであげてください。
働き方改革が推進されるほど、皆さん多忙を極めています。家事も仕事もやらなきゃいけないし、やる事がいっぱいで「本を読んであげる」時間がないと思います。諦めず少しでも読み聞かせの時間を作ってください。
週に一回、月に一回でも構いません。親が一緒に本を読んでくれる時間は、子供にとってかけがえのない大切な時間と思い出になります。そんな大切な時間が読み聞かせを通し、子供が絵本と出会うのです。
妊娠中の声掛け
子供と絵本との出会いはお母さんのお腹にいる時から始まっています。
家族の声はお腹の赤ちゃんにしっかり届いています。
胎児に話しかけることを「胎教」と言い「胎児に教える」と書きます。愛情を育み絆を深める事ができます。
新生児〜乳幼児までの声掛け
家族から語りかけられる温かい言葉を子供はしっかり覚えています。愛情をたくさん言葉にしてあげてください。家族の言葉が大好きになり、心地よい言葉の響きは安心になります。
効果的なのは子守唄です。
- 子供を落ち着かせる効果がありリラックスして眠れる
- 抑揚のある音楽は脳に刺激を与え五感が発達する
- 言葉の発達を促すことができる
- 歌うことでエンドルフィンというホルモンが増加し、親のイライラやストレスを解消する効果がある
脳内の「報酬系」に多く分布する。内在性鎮痛系にかかわり、また多幸感をもたらすと考えられている。そのため脳内麻薬と呼ばれることもある。
マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用「ランナーズハイ」は、エンドルフィンの分泌によるものとの説がある。 食欲、睡眠欲、生存欲、本能などが満足すると分泌される。
スマホやタブレット端末が普及したた為、動画や音楽を流しっぱなしにして子守唄を歌う方が減っています。子守唄は積極的に行い、言語の発達を促しましょう。
絵本の世界との出会い
絵本の世界と出会うと、わくわくドキドキするものとたくさん出会い五感が芽生えていきます。
- じいっと見たり(視覚)
- 一生懸命聞いたり(聴覚)
- 匂いを嗅いだり(嗅覚)
- 味わったり(味覚)
- 触って見たり(触覚)
生まれて初めての絵本はおもちゃのような存在です。読み聞かせしてもらって初めて絵本の世界と出会います。
家庭や図書館でたくさんの絵本に出会い、様々なものに興味・関心を持ち自我が芽生え始めます。絵本を自分で選んだり、お気に入りの絵本や好きな場面もできて個性がハッキリしてくるのです。
絵本の登場人物になりきって、嬉しくなったり悲しくなったり想像の世界で様々な体験をし、人の気持ちに触れるようにもなります。
少しづつ理解ができるようになる大切な時期なのです。
年齢に合わせた読み聞かせ
読み聞かせを効果的に行うには、子供の成長に合わせた方法で行う必要があります。
0〜2歳頃までの読み聞かせ
0歳〜2歳頃の子供は言葉の音やリズムを感じとって、言葉を吸収していきます。読み聞かせを通して興味・関心が芽生え、自我が生まれる時期です。絵本選びがとても重要になります。
- 子供の好きなものが載っている絵本
- 身近な動物や植物が登場する絵本
- 生活中の言葉に触れている絵本
- 言葉や音の繰り返しがある絵本
子供が何を面白がっているか、目を見ながら語り掛けるようにゆっくり読み聞かせましょう。
子供の眼差し、仕草に関心を示す事が成長にとても大事です。
膝の上に乗せて寄り添って読んだり、好きなページを何度も読み聞かせたり、楽しく行う事も重要なポイントです。
歌を聞かせる
0歳〜2歳頃の子には、わらべ歌や子守唄を聞かせましょう。
わらべ歌は音域が狭い為、乳幼児にも聞きやすく、歌いやすいのが特徴です。知っているフレーズ、自分流のリズムでも構いません。
ゆっくり同じテンポで、繰り返し歌い続ける事がとても大事です。
子守唄って不思議ですよね。どんなに泣いていても気づいたら寝てしまう魔法の歌に感じてしまいます。
大好きなお父さんお母さんが歌う歌声に、安心して気持ちが落ち着いてしまうのです。
前文でご紹介しましたが、お父さんお母さんの子守唄でエンドルフィンが分泌されて安心してしまうのでしょう。
効果は安心だけではありません。人の記憶は眠っている間に脳に定着すると言われており、子守唄で聞いた言葉が眠っている間に脳に定着し、言葉の発達を促します。
CDやスマホで子守唄を聞かせるツールが増えていますが、効果はあまり期待できません。
大好きなお母さんの声で聞かせるのが大きな効果が期待できます。
子守唄は歌い手にも気持ちを落ち着かせる効果があります。寝る前に子供と一緒にリラックスして1日を終わらせるのはいかがでしょうか。
2歳〜6歳頃までの読み聞かせ
2歳〜6歳頃の子供の読み聞かせは、言葉やジャンルを広げる事がとても大事です。
生活の中での実体験を大切にしながら絵本や本のジャンルを広げていきましょう。
会話を楽しむ
行動範囲が広がり幼稚園・保育園で友達などと関わるようになると、会話が増え沢山の言葉を覚えるようになります。興味・関心を持ち、個性がはっきりしてくるので自我が芽生えてきます。
自分から話そうとするようになるのでお父さんお母さんは、子供の話を聞いて話題にしましょう。会話が楽しくなり、話す事が増えると言葉ををどんどん覚えます。
読み聞かせのジャンルを広げる
言葉を覚え始め自我が芽生えると好きな本や、好きな場面ができます。
子供は繰り返しが大好きなので何度でも読んであげてください。
魅力にハマりどんどん本の世界に引き込まれていきます。
- むかし話
- 物語・童話
- 科学絵本
- いきもの図鑑
好きな本を何度も読み聞かせる事も大事ですが、いつもと違うジャンルの絵本や本を選ぶと興味・関心を広げるきっかけになります。
小学生の読み聞かせについて詳しい記事を掲載します。ジャンルを広げ、長く読み聞かせを続ける為に、参考にしていただけたらと思います。
絵本や本以外で話を楽しむ方法
子供と話を楽しむ方法は絵本以外にもあります。
普段の話もとても大事ですが、昔話などは本がなくても話だけで聞いて楽しむ事ができます。
話だけでは飽きてしまう子には紙芝居をおすすめします。舞台を使うといつもの話でも興味が出たり、いつもと違う楽しみ方ができます。
注意してほしい事
子供が字を読めるようになると読み聞かせをやめてしまう方がいます。
字が読めるようになっても、読み聞かせをやめないでください。
文字が読めることと、本が読めることは別物です。本を楽しめなくなる可能性もあります。大好きなお父さんお母さんに読み聞かせをされる喜びは何歳になっても嬉しいものです。
小学生や中学生になっても読み聞かせをしてみてはいかがでしょうか?逆に、子供に読み聞かせをしてもらうと新しい気づきが生まれる事でしょう。
本に触れる場所へ行こう
読み聞かせをしている方、読み聞かせを始めようと思っている方はどのように本を選んでいますか?続ける上で、本選びは一つの悩みになると思います。
様々なジャンルと出会う為に、本と触れ合える場を活用しましょう。
- 図書館
- 書店
- 幼稚園・保育所
- 子育て支援センター
- 公民館
- 児童館
- 小児科
- 移動図書館(一部地域)
本と触れ合える場所は沢山ありますが、おすすめはやっぱり図書館です。
おすすめの図書館
なんと言っても図書館の醍醐味は、沢山の本が揃っている事です。図書館の規模にもよりますが、様々なジャンルの本が揃っています。
子供に本を選ぶ体験をさせてはいかがでしょうか?興味・関心が育まれ個性がハッキリしてきます。
本の数も多いですが、図書館を利用する方も多く、沢山の人が図書館にいます。最初の内は沢山の人に慣れず、怯えたり、人を怖がったり、遠慮する子もいると思います。
本の場所を訪ねたり、会話のやりとりをしている内に子供の社会性が育まれます。図書館の人などに声掛けするのをお勧めします。
子供と一緒に本を選ぶ時間も、思い出に残る有意義な時間になります。
お父さんお母さんが昔、大好きだった本を子供に進めてみませんか?一緒に楽しめる事が出来れば思い出の共有になり、一層親子の時間を楽しめます。
- 貸出カードは0歳から作れる
- 多少の声出しOKの児童・赤ちゃんコーナーが備えているところが多い
図書館や書店、幼稚園・保育所などの施設では、「読み聞かせ会」や「わらべうたの会」など様々なイベントが行われています。親子やボランティアの人達と交流できる良い機会になります。
他の子供たちと、一緒に絵本を楽しむ事で、違う楽しみ方が発見できます。
まとめ
- 読み聞かせは情緒や想像力だけでなく言葉と心を育てる
- 子供が読み聞かせに出会う為に成長過程に合わせた言葉や子守唄が大事
- 年齢に合わせた読み聞かせが効果を高める
- 本に触れ合う機会を増やす為に図書館などを利用すると良い
読み聞かせの効果は凄いですね。読解力や学力に効果があり、「これからやってみよう」っと思った方、「もっとやっておけばよかった」っと思った方、様々だと思います。
何事も遅いなんて事はありません。思い立った方は今日から初めてください。
そして、子供の心を育ててください。忙しく便利な世の中だからこそ心を育ててください。希薄な関係が増え物騒な世の中だからこそ心を育ててください。
読み聞かせを通した、家族との大事な時間。お父さんお母さんの温もり。心地良い声。心が育てば、人の情緒に寄り添う事ができる暖かい人になります。
暖かい人が溢れた明るい未来を作る為には、読み聞かせは欠かせませんね。