【連載:おうちモンテ】言語取得の天才?!元モンテッソーリ講師が教える モンテの敏感期①

ざっくり言うと

  • ほとんどの敏感期は6歳までにやってくる
  • 言語の獲得はお腹の中から始まっていて、言葉のコップが溢れると話し出す
  • 英語学習は早ければ早いほど良いは、半分ホント

ここ数年で一気に一般的になったモンテッソーリ教育。評判のよいお教室を検索したり、体験教室に行かれたりした方も多いのではないでしょうか。高い月謝を払ってモンテッソーリのお教室に通うのではなく、「おうちモンテ」としてモンテッソーリ教育を取り入れようかな、という方も多いと思います。

前回までの2回では、元講師の私が家で実践していたモンテッソーリ教育をおうちで取り入れる方法をお伝えしてきました。

今回からはもう少し学びを深めて、お子さんへのアプローチが最大効果を発揮する【敏感期】を、モンテッソーリ教育の分類を元に解説していきます。

「言われてみればこんな時期あったのに過ぎちゃった!」という方も安心してくださいね。敏感期を過ぎてしまっていても、働きかけや遊びを通して学ぶことができますよ。

ただやはり敏感期の方が吸収スピードが早いので、お子さんの敏感期がまだ来てない方は、敏感期という吸収のボーナスタイムを上手く使って、お子さんの成長をサポートしてあげられるといいですね!

大きな敏感期は6歳までにやってくる

モンテッソーリ教育では、人間の成長に大きな波のようなリズムがあると考え、「こどもの発達の4段階」として4つの段階に分け、0歳から6歳までを『幼年期』、6歳から12歳の『児童期』、12歳から18歳の『思春期』、18歳から24歳の『青年期』 としています。

中でも、0歳から6歳の幼年期にはモンテッソーリが「人生を生き抜く上で必要な8割の力が備わる人生の最重要期」とした、モンテッソーリ教育の要となる時期です。そしてこの時期に、子どもがグッと成長するポイントである敏感期が集中しているのです。今回からはモンテッソーリ教育における敏感期を8つ(言語、運動、感覚、秩序、小さい物、数、文化、礼儀作法)をご紹介したいと思います。

最も早くて、最も長い“言語の敏感期”

最初にご紹介するのは敏感期の中でも最初にやってくる「言語の敏感期」です。言語の敏感期は「話し言葉の敏感期」「文字の敏感期」の二つに分けることができ、妊娠7か月から5歳ごろまで続く、最も長い敏感期です。今回の記事では『話し言葉の敏感期』を取り上げます。

言語の敏感期という言葉を聞いたことなくても、「赤ちゃんはお腹の中にいる時からママの声を聞いている」という話は聞いたことありませんか?胎教の話や、もっと言えば産科の先生や助産師さんから妊娠中に「お腹の赤ちゃんに沢山話しかけてあげてね」と言われた人もいるかもしれません。

お腹の中にいる時から、周囲の声や言葉を聴いて、言語取得をスタートさせているのです。お腹の赤ちゃんに話しかけるのは理にかなっているのですね。

乳幼児期は、まだまだ身体が未発達で発語すること自体が難しいのですが、親や周りの人が話す言葉を聞いて学習していきます。そしてミルクや離乳食、咀嚼を経て、舌や喉が完成し、発音、発語へと進んでいきます。

話せないから分かっていないのではなく、意味は分かっているけど発声していない時期があるのですね。返事が返ってこないので、独り言みたいで少し寂しく感じますが、できるだけお子さんにた――――くさん話してください。

「言語(話し言葉)の敏感期」にたくさん言葉のシャワーを浴びることで、子どもが“話せないけど理解している言葉”の量が変わっていきますよ。 また、同じ言語の敏感期でも、もう少し後にやってくる「文字の敏感期」については、次回お伝えしますね。

言語の敏感期と言葉のコップ

この言語の敏感期(話し言葉の敏感期)にたくさん貯めこんだ「話せないけど理解している言葉」は、お子さんが2歳後半あたりで溢れてきます。

幼児教室で講師をしている時、あまりおしゃべりが得意ではない子、まだあまり発語が無い子の親御さんから、相談を受けることがありましたが、この「言葉が爆発的に増える時期」について、幼児教室では

「子どもは言葉のシャワーをコップに入れていて、そのコップがいっぱいになると言葉が溢れてきますよ。」

と、コップに例えてお伝えしていました。今まで話してきたことは全部そこに入っているので、コップがいっぱいになるように、たくさん言葉のシャワーをかけ続けてください。

 コップの大きさは人それぞれ”

言葉が遅いのを心配されている方は、お子さんの言葉のコップが大きいのかもしれません。お子さんを観察してみて、こちらの話を聞いている様子や理解している様子があれば、言葉を貯めているところだと思います。たくさん話しかけたり、読み聞かせしたりと言葉のシャワーを存分にかけてあげてください。

一気に溢れてきた時、楽しそうに眼をキラキラさせて話す様子が可愛らしく、その様子と相反して?理解している言葉の量にびっくりしますよ。

話し言葉の敏感期と英語学習

英語学習は早ければ早いほど良いってホント?

言語の敏感期の話をすると、ほぼ必ず聞かれる幼少期の英語学習の話。英語学習はお教室なども多く、お子さんが始めやすい習い事の一つですよね。ただ、始める時期に関しては「早ければ早いほど良い!」という考え方や「母国語である日本語がしっかりしてから」という考え方もあり、どうしたらいいのか分からなくなりますよね。

言語の敏感期を考えると、語学学習のスタートは早ければ早いほどいいのは…ホント!敏感期では親や周りの人の話す言葉を聞いて、アクセントやイントネーションなど難なく習得できる時期と言われています。早い時期に始めることには、この敏感期の恩恵を受けやすくなるというメリットがあります。

習い事だけじゃ足りない?必要なのは周りの環境。

ただ…そこはやはり「話し言葉」の敏感期。周りの人が話してなければ、思うような成果が得られないことも多々あるようです。敏感期に乗じても習い事だけで自動的に英語が話せる・理解できるようになるというわけではありません。もし言語の敏感期を使って、英語学習を進めたい!と言う方は、家でもなるべく英語に触れる・親も英語を話すなどの工夫が必要になってきます。

ちなみに1歳半から4歳半まで海外でインターナショナルスクールに通っていた息子は、日中は英語のみ・家では日本語のみという生活でしたが、4歳ごろは英語の方が得意だと言っていました。起きている時間のほとんどが英語生活だったという点が大きな要因だったと思います。

結論としてはスタートが早ければ敏感期の恩恵を受けやすいが、そのために英語環境を整える必要があるということになりますね。

まとめ

今回は言語の敏感期でも、前半の話し言葉の敏感期についてお伝えしました。(後半は英語教育についての話になってしまいましたが。)

まだお話ができない子にたくさん話しかけていると、独り言のように感じて寂しくなったり、ちょっと恥ずかしかったりしませんか。でも、たくさん話しているその言葉を、いつかあなたとお話しするときのために、お子さんはしっかり聞いていますよ。こんなことお話しできたら嬉しいなーということを考えながら、むしろその考えも言葉にして伝えてあげてくださいね。お子さんのコップがいっぱいになって、急に話し始める日が楽しみですね!!!

次回は同じ言語の敏感期ですが、後半の「文字の敏感期」についてお伝えします。文字の敏感期はどんなふうに始まるのか、またその時に用意したい環境などもお教えします。3歳ごろのお子さんがいる方、必読です!