ざっくり言うと
- 学校法人シュタイナー学園初等部・中等部・高等部(神奈川県相模原市)
- 北海道シュタイナー学園いずみの学校(北海道虻田郡豊浦町)
- 福岡シュタイナー学園(福岡県福岡市)
- NPO法人東京賢治シュタイナー学校(東京都立川市)
- NPO法人愛知シュタイナー学園(愛知県日進市)
- NPO法人京田辺シュタイナー学校(京都府京田辺市)
- NPO法人横浜シュタイナー学園(神奈川県横浜市)
- 0才~7才(からだの発達期)
- 8才~14才(こころの発達期)
- 15才~21才(あたまの発達期)
- オイリュトミー
音に合わせて体を動かす芸術運動 - エポック授業
長期間、1つの科目を集中して学び自分だけの教科書を作りあげる授業 - フォルメン
直線や曲線、丸などを様々な色を使って描き運動感覚やバランス感覚を身につける教科 - 心と体と頭の調和
- 他者との協調性
- 想像力と創造力を培う
など - 3~4週間かけて集中して1つのテーマに取り組むことで学んだことが体験として身につく
- 先生と生徒が一緒に作り上げていく授業で信頼関係を築く
- 集中力や豊かな発想力、自分で考える力を身につける
- 発言力、提案力、ディスカッション力を身につける
- バランス感覚を身に着ける
- リズム感覚を身に着ける
- すべての教科の基礎となる力を身に着ける
- 幼児部では、使う玩具は自然素材のものを使用。既成の玩具ではなく、木の実や布きれなど様々な素材が置いてあり、それらを使って自分たちで遊び道具を作って創造力を育む
- 食事はオーガニックを推奨していて、触れるもの、体に取り入れるものはすべて優しい自然のものという考えが徹底している
- 授業内で味噌作りをしたり、その味噌を使ってお味噌汁を作ったりと、食育にも関心が高い
- 指示待ち人間にならず、自分の意志で進む道を決められる
- プレゼンテーション能力が高い
- 子供の個性を伸ばし自立した人間を育てる
- 学校では時間割やテストが無く、興味のある科目を集中して学べる
- 子供が自ら成長しようとする力を、大人が邪魔してはいけないという考えのもと、大人と子供が対等な存在である
- オイリュトミーによる肉体と精神の調和を目指す
- エポック授業やフォルメンなど芸術性を伴ったカリキュラム
- オーガニック食へのこだわり
- おもちゃは自然素材の手作りを推奨
- 成長段階に合わせた教具を使って思考力を身に着ける
- 幼少期から日常生活の中で自分のことを自分でできるように導く
- 成長に必要な遊びを「お仕事」と呼び、集中して心ゆくまで取り組ませる
- 先生が子供に「教える」のではなく、子供が自ら成長するのを「手助け」するというスタンス
- シュタイナー学校ってこんなところ
- シュタイナー学校の個性的な授業とは
(オイリュトミー・エポック授業・フォルメン) - シュタイナー学校は自然とのふれ合いを大切にしている
- シュタイナー教育を受けた子供たちは自立心がある
- シュタイナー学校に通うデメリットとは
- シュタイナー教育を家庭でも取り入れよう
- シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の比較
テストが無い、教科書も無い。子供の個性を尊重し、授業は常に芸術性に溢れているシュタイナー学校とは。
そこではどんな教育方法で、どんな授業が繰り広げられているのでしょう。
難しそうなシュタイナー理論を、誰にでもわかりやすくご説明します。
シュタイナーに興味のある方、シュタイナー教育を取り入れようとしている方、ぜひご一読を。
目次
シュタイナー学校ってこんなところ
一般的な教育と異なる、独自の教育方法には、モンテッソーリやレッジョエミリアなど様々なものがあり、今話題となっています。今回はシュタイナー教育を取り入れたシュタイナー学校について詳しく掘り下げていきます。
シュタイナー学校とは
20世紀初頭、オーストラリアの教育家であり、哲学者・神秘思想家でもあったルドルフ・シュタイナー(1861-1925)。
彼が提唱するヴァルドルフ教育法が日本に持ち込まれたとき、「シュタイナー教育」と日本では呼ばれるようになりました。
そのシュタイナー教育を取り入れた学校がシュタイナー学校と呼ばれています。
日本でいちばん最初のシュタイナー学校は、シュタイナーシューレといって1987年に新宿の住居の一室で始まりました。
その後徐々に広がっていき、国に認められた小中高12年間の一貫教育を行うシュタイナー学園が完成したのは2012年のことです。
そして現在、自由ヴァルドルフ連盟に認定されたシュタイナー学校は、全国に7つあります。
北海道いずみの学校は、初等部・中等部は学校法人、幼稚園・高等学園はNPO法人として運営されています
北海道いずみの学校の詳しい記事はこちら
関西のシュタイナー学園の詳しい記事はこちら
シュタイナー教育の特徴
シュタイナー教育の主な特徴は、その芸術性にあります。
どのような教育も、芸術を通して学ぶと身につきやすいのだそうです。心で感じ、体で覚えたことは忘れない、という考え方です。
シュタイナー教育の特徴その①発達期に合わせた教育
シュタイナー教育では、こどもの成長期を3つの段階に分けて考えており、各年齢層の子供の成長に合った教育を取り入れていきます。
からだの発達期には、その発達の妨げになるものを排除するため、テレビなどの刺激の強いものは見せません。それよりも体を動かすように導いていきます。
こころの発達期には、想像力を伸ばして豊かな心を育てます。
あたまの発達期になると、これまでに得た知識を自分のものする思考力ができてきます。この時期に、パソコンを使った授業も取り入れるようになります。
小中高一貫のシュタイナー学園では1年生から12年生までいますが、1年生から8年生(一般的な学校でいうと中学2年)までの間、8年間、同じ担任が子供たちの成長を見続るというのも特徴です。
9年生からは、8年間一緒に過ごしてきた先生と離れることで、一歩自立した人間に成長していきます。
シュタイナー教育の特徴その②リズムのある生活
シュタイナー学校では、曜日ごとに、また季節ごとに、決まったことをする生活のリズムを大事にしています。
授業の前にはリズム運動を取り入れるのも日課です。繰り返しのリズムの中で生活をすることで、気持ちが安定し、心と体の調和がとれるそうです。
シュタイナー教育の特徴その③教科書のない授業
いちばんびっくりしたのは、シュタイナー学校の授業では教科書を使わないし、テストもないことです。
点数によって子供たちが振り分けられることは一切無いんです。
では実際にどんな授業を行うのかというと、主に3つの独自の授業が展開されます。
オイリュトミーに、エポック、フォルメン・・?聞きなれない言葉ばかりだと思います。
私も、シュタイナーについて調べるまで聞いたことがありませんでした。
私もみやびくん同様、子供のころに、こんな学校があると知っていたらきっと興味津々だったことでしょう。
他の生徒と競争して知識を詰め込むのではなく、心から学びたいという自然な欲求を大切にし、それこそが真の学びだと考えているのがシュタイナー教育。
通知表は数字ではなく、生徒ひとりひとりの学校での様子や取り組みの進捗などを担任が文章で伝えます。
知れば知るほど、とても奥深いですね、シュタイナー学校。ますます興味がわいてきたかと思います。すべては心・体・頭のバランスのとれた人間形成を目指すための教育内容なんです。
その授業内容をさらに詳しく深堀りしてみました。
シュタイナー学校の授業内容
とても個性豊かな授業を展開するシュタイナー学校。
一人一人の個性を伸ばす、特徴的で、きめ細やかな授業内容を詳しく見ていきましょう。また、シュタイナー学校で学んだ生徒たちはどのように成長していくのでしょうか。
シュタイナー教育【オイリュトミー】
言葉で簡単に説明してしまうと、オイリュトミーとは音楽に合わせて体を動かす芸術運動のことです。
オイリュトミーは、美しいリズムを伴う運動芸術で、それを通してシュタイナーが大切にしている「頭・体・心」の3つの調和がとれ、協調性や社会的能力を身に付けることを目指しています。
様々なリズムに合わせて体を動かしながら、一人で舞ったり大勢で舞ったりします。自分勝手に動くのではなく皆と呼吸を合わせて調和していきます。
とても神秘的なムード溢れる動きに独特の世界観が広がり、シュタイナーが神秘思想家であることがよく窺えるとても美しい踊りです。
考えるだけの頭でっかちではなく、体を使うだけでもなく、心で感じるだけでもない、その3つ全部のバランスが取れていることを目指すのがシュタイナーの理想で、それを、このオイリュトミーを通して学ぶことができるのだそう。
バレリーナやプロのダンサーが見ても、オイリュトミーにおける人間の自然な動きの美しさに感銘を受けたといいます。
ところでオイリュトミーのことを調べていくと、ちょっとだけ興味深い発見がありました。
名著「窓ぎわのトットちゃん」で有名な黒柳徹子さんが通っていたトモエ学園(戦争で焼失し今はありません)は、日本で初めてリトミックを取り入れた学校でした。
トモエ学園の校長小林宗作先生は、ヨーロッパで様々な教育家から教育法を学んできたそうです。
その中で、スイスの音楽家ダルクローズが考案したリトミックを学び、それを日本で初めて、小学校教育に取り入れたそうなのですが、トットちゃんたちが学んでいたそのリトミックが、オイリュトミーと非常によく似ているのです。
今、私たちがイメージする一般的なリトミックは、リズムに合わせて身体を動かしたり歌ったり、リズム遊びのようなお遊戯に近いイメージがありますよね。
ですが本来のリトミックは、シュタイナーにおけるオイリュトミーのように、体と心の調和を目指した、深い思想があったんです。
「リトミックは、こんなふうに、心と体にリズムを理解させることから始まり、これが、精神と肉体との調和を助け、やがては想像力を醒まし、創造力を発達させるようになればいい、という考えのものだった。」
出典:「窓際のトットちゃん」より
私たちがよく見聞きするリトミックも、本来の形はオイリュトミーと重なる部分が多く、その思想に至るまで共通点があったとは、教育の歴史ってとても奥が深いなぁと思います。
20世紀初頭というのは新しい教育法があちこちで生まれていたんですね。
ちょっと話が逸れてしまいました。シュタイナーの話に戻します。
オイリュトミーについてはこちらの記事で更に詳しく解説してますよ
シュタイナー教育【エポック授業】
シュタイナー学校では、毎朝2時間近く、自分の興味のある科目を選んで勉強し、それを2~4週間にわたって続け、集中的に学びます。これがエポック授業です。
小中高一貫して、この勉強方法を取り入れています。
いちばん集中力の高まる午前中を利用してこのような活動をすることで、生徒たちは授業内容に深く没頭していくことができるのです。
普通の小学校なら、子供の興味のあるなしに関わらず、1時間目は算数、2時間目は国語といったように、決められた授業を全員が受けなくてはなりませんよね。
どんなに算数が嫌いでも1時間目のチャイムが鳴ったら絶対に算数をやらなくちゃいけません。
逆に、算数が大好きで、もっとやっていたくても、チャイムが鳴ったらいったん終わり。2時間目が来たら、脳内を無理やり国語にチェンジしなればなりません。
でもシュタイナー教育のエポック授業では、まとまった時間を毎日、好きな教科に充てられるので、好きな教科を気の済むまで集中して取り組むことができるのです。
興味の対象に、ここまで徹底的に取り組むことで、その子の個性や特技をさらに伸ばしてあげられるんですね。
シュタイナー学校には教科書がありません。教科書なしにどうやって授業を進めていくのかと興味津々になってしまいますよね。
生徒は帰宅後、エポック授業で学んだことを自分でノートにまとめ、翌日先生と生徒でそれにもとずき話し合い、最終的に自分だけのエポックノートを完成させるそうです。
そのエポックノートが、自分だけの教科書になるのです。
このエポックノートが、いろんな色や絵を用いていて美術の教科書のように美しいんです。
先生が一方的に話すのを聞いているだけだったり、黒板をただ写すだけ、といった受け身の授業とはかけ離れていて、こうした自主性に富んだ学び方は子供の中に深く根付き忘れることはないのでしょうね。
シュタイナー教育【フォルメン】
フォルメンとは、シュタイナー学校の中で必須の授業です。
直線や曲線、円や鋭角など、様々な形を色とりどりに書くことで、バランス感覚やリズム感覚を身に付けさせるものです。
フォルメンでの学びを活かして、色鮮やかで芸術的な自分だけのノートを作り、それが自分だけの教科書(エポックノート)になっていきます。
シュタイナー学校で先生方の書く黒板も生徒が書くエポックノートも、本当に美しく思わず目を見張るほどです。
芸術に絡めて感動を伴った学習をすることで、体験として身に付き、知識が定着するというのが納得できます。
だんだんシュタイナー学校の授業を受けてみたくなってきました。
参考にシュタイナー学校の動画を載せますね。雰囲気が掴めると思います。
こちらは東京賢治シュタイナー学園の動画なのですが、賢治って誰だろう・・って思いませんでしたか?
じつは銀河鉄道の夜の作者、そして雨ニモマケズ、風ニモマケズ・・でも有名なあの宮沢賢治さんです。
20世紀前半、宮沢賢治が掲げた教育理念が、シュタイナーの教育理念とよく似ていたそうなのです。それでその二人の理想とする教育を取り入れたのがこの東京賢治シュタイナー学園だそうです。
さて、シュタイナー学校のメイン授業である、オイリュトミー・エポック授業・フォルメンについて詳しく話してきました。この他にもたくさんの個性あふれる授業がありますのでその一部を紹介していきます。
【自然とのふれあい】を大切にするシュタイナー学校
自然とのふれあいをとても大事にするシュタイナー学校は、校舎も自然の素材のものであふれています。
幼稚園や、初等部の教室は、子宮をイメージしたとされるピンクを貴重としたインテリアで、子供たちに安心感を与えます。
こどもたちは落ち着いた穏やかな雰囲気の中で学んでいます。
自然を大事にした取り組みの主な特徴としては、
などが挙げられます。
この他にも、各学園でサマースクールが行われていたり、北海道いずみの学園では近隣の大自然や雪と触れ合う時間を設けていたりと、その土地ならではの自然に触れるような取り組みが多々見られます。
入学する前に、サマースクールに参加してみるという人もいるようですよ。
興味のある学校のホームページなどで調べてみてくださいね。
どの学校も、子供たちの成長に対して真剣そのものの先生方の姿勢と、個性あふれる授業で、世の中にはこんな学校があるんだなぁって感慨を受けます。
このように、公的な教育機関とは異なった独自の教育法をオルタナティブ教育と言います。
オルタナティブとは「代替えの」とか「二者択一の」などの意味がありますが、それに「教育」という言葉をくっつけると、「非伝統的な教育」とか「教育選択肢」とも言い、教育における「もうひとつの可能性」という意味合いを含んできます。
オルタナティブ教育を行う学校では「先生と生徒」「先生と保護者」、また「保護者同士」の関係が密で、みんなが一体となって子供の成長を支えていきます。
特にシュタイナー学校は、8年間同じ担任がみるという点からも、先生と生徒、そして保護者のつながりの深さがうかがい知れますね。
私たちは自分が育ってきた環境しか知らないので、知らず知らずのうちに、自分が子供の頃に受けてきた教育を、自分の子供にも与えている部分が多々あると思います。
でも、ちょっと外に目を向けてみると、世界にはまだ私たちの知らないもうひとつの可能性、もうひとつの教育が、あることがわかります。
子育ての方法はたったひとつじゃなくて、様々な選択肢があるということに気づかされるのです。これは私にとっては大きな衝撃でした。
1970年代に子安美知子さんの著書『ミュンヘンの小学生』がベストセラーになりました。
娘さんをドイツのシュタイナー学校に通わせた体験談が書かれてあります。
本書の出版を機に日本でもシュタイナー教育が脚光を浴びたといいます。興味のある方は一読してみてはいかがでしょうか。
シュタイナー学校で学んだ子供達はどんな大人に成長するの?
などの特徴があるといいます。
ただ、シュタイナー教育自体は古くから日本に伝わっていたものの、シュタイナー学校として国内で認可されたのは最近のことであるため、シュタイナー学校を出た子供たちがどのような活躍をしているかについては、今のところデータが少ないそうです。
シュタイナー学校はこれから期待できる学校とも言えそうですね。
シュタイナー学校に通うデメリット(?)
個性あふれる教育を行うシュタイナー学校ですが、一方で一般社会に馴染めないのでは、などのデメリットを心配する声も聞こえてきます。実際、デメリットはあるのでしょうか。シュタイナー学校に子供を通わせていた方たちの声とともに紹介していきます。
シュタイナー教育ではテレビやインターネットを見てはいけない?
シュタイナー教育において、テレビやインターネットを子供に見せません。
成長の段階で「今はあえて見せる必要がない」という考えのようです。
幼少期は体や心をしっかり作る時期であって、この期間に脳や目に必要以上の刺激を与えることはあえてしないのだそう。
せっかく体が発達する時期に、テレビを見ることでジッとしている時間を作ってしまうのではなく、そのぶん体を動かすことに時間を割いたほうが良いというわけです。
シュタイナー教育を取り入れた幼稚園では、先生と子供が会話をする時間をなるべく作らないようにしているという方針のところもあります。
会話ってとても大切なことだと思うのでちょっと意外で驚きますよね。
おしゃべりをしている時間は体が止まってしまいます。
それよりも体を動かしてあそぶ時間を多く作れるように、先生が子供に声をかけるのは必要最小限にとどめるという徹底ぶりです。
そのくらい、この時期は体を作ることを最優先するということなのですね。
ただ、ずっとテレビやパソコンを見てはいけないということではなく、体と心がある程度しっかり成長してくる小学校高学年になったら、インターネットなども使うようになります。
実際通っている子供たちはテレビを見ないことについてそれほど違和感を持っていないようです。
子どもが9年生になった頃でしょうか。ふと、「テレビ観る生活してなくてよかった。ありがとう」と言ったのです。もしテレビを観ていたら夢中になってその話題ばかりになっていた。あの自分と友達(仲間たち)の世界に没頭する幸せな時間を過ごすことができなかったねと。
シュタイナー学校に在学中は、他のお友達もテレビを見ないわけですから、アニメなどの会話についていけないという問題も無さそうです。
ただ、卒業したあとや別のコミュニティに入っていったときに違和感を覚えることはあるかもしれません。
それでも自立心のあるシュタイナーの子供たちはそんなことで疎外感を感じたりせず、むしろ有意義な幼少期を過ごせたと思うのかもしれませんね。
でも現代の生活では、幼少期といえど、テレビやネットを全く見ない生活というのもなかなか難しいと思います。
家庭によっても、シュタイナー教育をどの程度取り入れているのか、その度合いにもよると思いますが、ガチガチに絶対こうじゃなきゃだめとするのではなく、テレビやネットを見ても良い時間を決めるなどして、工夫している方もいるようです。
シュタイナー教育は激しいスポーツは禁止?
シュタイナー教育では、子供の身体がバランスよく成長していくためには、幼少期に体の一部を極端に酷使するスポーツは、避けたほうが良いと考えられています。
体育の授業では、年齢ごとの身体の発達に合わせて必要な運動を行います。
球技は高学年になると野球やバスケットボールなどを取り入れますが、手を使わないサッカーについては、心身の全体のバランスを崩さずに導入できるかどうかという議題で検討されているようです。
入学前にはスポーツを通じて男の子の競争本能を発散させていたので、今子どもは物足りなく感じており、それについてうまく子どもに説明できないでいる。
(在校生保護者)
シュタイナー学校では、球技は思考力が発達し始める高学年からという考え方なので、サッカーが好きなお子さんや、もっと早くから球技をやりたいと思っているお子さんでしたら、入学前に親子で話し合っておく必要がありそうですね。
テストのないシュタイナー教育は学力を計りにくい?
シュタイナー教育ではテストが無く、子供が点数によって評価されることはありません。
それによって他人との競争ではなく真の自分というものの確立を目指しているのですが、一方で大学受験をする際などに、子供の学力がどの程度なのかを把握しにくいという面で不安に思う保護者もいるようです。
自主性を大事にし、詰め込み型の教育をしない半面、全体的な学力が弱めだと感じる保護者もいます。
教科書やテストを使わず、教師の裁量を優先する教育のデメリットは、 特に英語に関して体系的に文法を学べずに来た感があり、語学にはテキストが必要ではと思うことがありました。テストがないため子どもがどこで躓いているかが家庭でも把握しづらい、漢字の正確な書き方、細かい部分がどうしても曖昧になりがちです。
(転出生保護者)
一方で、自主性をもって学んできた生徒たちは、進学する際も、ただなんとなく大学に行くのではなく「これを学びたいからこの大学に行きたい」という明確な意思があるといいます。
大学を目指さない生徒も、やりたいことが明確なので、それをかなえるための道を自分で選択していくそうです。
大学受験のための勉強やテストに追われることなく、自分が将来何をしたいか、どういう職業に就きたいか考える時間があった。人の価値が成績によって決まるという感覚がないので、テストの成績を気にして卑下したり、人を見下したりすることは一切ない。
(NPO卒業生)
プロジェクトや福祉実習で尊敬できる大人に出会う機会があったことで自分の進みたい方向性が見えてきた。それで大学の行きたい学部が決められた。ただ大学に入るためではなく、目的をもって受験勉強ができる。
(NPO卒業生)
この他にも、シュタイナーが提唱するオーガニック食を家で実践するのが大変だったり、そもそも国内には通える学校が少ないこともあり、シュタイナー教育の実践は継続が難しいといった意見もありました。
シュタイナー教育を受けるにあたっては、よほど整った環境でない限り、ほどほどを良しとして折り合いをつけながら、できる範囲でやっていくことも必要じゃないかと感じます。
メリットデメリットは、ご家庭によってもお子さんひとりひとりによっても違ってくると思います。
シュタイナー学校に通うことを検討するなら、家庭でどこまでこの教育方針を取り入れていけるかも考えてみる必要がありそうです。
ところでシュタイナー学校は、神秘的な思想を持っているためか、宗教的だととらえられることがあるようです。
実際、クリスマスなど、比較的キリスト教のイベントを取り入れていますが、生徒のご家族の中にはキリスト教の方もいれば仏教の方もいるそう。特定の宗教を支持しているわけではなく、むしろ、様々な考え方があることを知ろう、と子供たちに教育しているということですよ。
シュタイナーのデメリットについてはこちらもご参考に。
シュタイナー教育を家庭で取り入れるには
全国に7校しかないシュタイナー学校ですが、シュタイナー教育の魅力に引き付けられ、ぜひ我が子に入学させたいと、家族で移住する家庭もあるほどです。
ですが、実際にはシュタイナー学校に通えない事情のある人の方が多いと思います。
学校は7校のみですが、幼稚園は全国に50か所ほどありますから幼児期だけでも通わせてみるのも良いかもしれませんね。
シュタイナー教育について様々な本が出版されているので、それを参考に、できる範囲で家庭で取り入れてみるのも良いですよ。
手作りのおもちゃで遊ばせたり、食事作りのお手伝いなど、家庭内でできることは意外とたくさんありそうです。
シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の違い
一方、その具体的な教育方法についてはそれぞれ独自のスタイルを持っています。
それぞれ独自の方法で教育に当たっていますが、子供たちの人間形成においての目指すべき方向性は近いものがありますね。
モンテッソーリは教具を使った教育を行っているのに対し、シュタイナーの方は、神秘性・芸術性を大事にする点がやはり最大の特徴と言えそうです。
きお太のまわりのお友達も、早い時期から習い事をしている子もとても多かったです。
記事を取得できませんでした。記事IDをご確認ください。
まとめ
私たちに新しい価値観を与えてくれるシュタイナー学校。早期教育が当たり前になってきている今、少し立ち止まって、こんな教育が、こんな学校があるんだよってことを、教えてもらった気がします。
皆さんは子供にどんな教育を与えてあげたいですか?時には私たち親も、ゆっくりじっくり、考えてみる時間を持ってみませんか。
シュタイナー教育自体は古くから日本でも取り入れられていたけれど、国に認められた学校が確立されたのは、ごく最近のことなのね