【絵本】小児科医ママおすすめ絵本5選!大人が読んでも深イイ話。

ざっくり言うと

  • 子供にも大人にもおすすめできる絵本を現役小児科医がピックアップ!
  • ド定番の絵本に飽きてしまったママたちも出会ったことがない絵本の内容や値段を公開!
  • 絵本選びにおいて「子供主導」か「親主導」、どちらが大切かわかる!

本屋さん、図書館、オンラインショップ。色んな場で絵本を見たり、選んだりすることはできますが、「今のうちの子には、どんな絵本を選んであげたらいいのだろう?」「口コミや評判で良いって聞いたから買ったけど、うちの子にはいまいちヒットしなかったな…」など、絵本のお悩みって意外とつきまといますよね。

今回は、年中さんくらいから小学生になっても、そして大人が読んでも楽しめる、そんな深イイ絵本を5冊ご紹介します!

おすすめ絵本紹介

(1)おこだでませんように

<作品情報>

作者:くすのきしげのり・石井聖岳
出版社:小学館
価格・料金:1,650円

<感想>

「ぼくは、いつでもおこられる。家でも学校でもおこられる。」
こんなフレーズから始まる、少年のものがたり。七夕の短冊に願いをこめる姿が、健気で愛おしく感じます。

うちの子(やんちゃ盛りの4歳男児)は、ママやパパに怒られてしまった日に、高確率でこの本を読み聞かせタイムに選んできます(笑)

「親が泣きました」「反省しました」という口コミが多いのですが、私も「そうだよね、毎日、一生懸命がんばっているんだよね」という気持ちをこめて読んでいます。

(2)みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし

<作品情報>

作者:湯浅 正太
出版社:日本図書センター
価格・料金:1,760円

<感想>

小児科医の湯浅先生が、ご自身の弟さまとの体験をもとに作られた作品です。
とくに幼児期の子どもは、何かうまくいかなかったり、病気になったりすると、「自分が悪い子だから、うまくいかなかった・病気になった」などと感じてしまう性質があります。

だれも、好きで病気や障害になるわけではない。だれかが悪いから、病気や障害になるわけじゃない。そんなメッセージが、幼いなりに伝わると良いなと思って読んでいます。
レビューも「何度読んでも感動」「色んな人におすすめ」「我が家の宝物」と大好評です。

個人的には「おこだでませんように」と同じ、石井聖岳さんによるイラストも、あたたかく・力強くて大好きです!

(3)みえるとかみえないとか

<作品情報>

作者:ヨシタケシンスケ
出版社:アリス館
価格・料金:1,540円

<感想>

みなさんご存知、ヨシタケシンスケさんの絵本ですね。
みえない人の世界を疑似体験してみよう…という描き方ももちろん素晴らしいのですが、中盤の「みんなの乗り物は違う」というページが、一番のお気に入りシーンです(子どもも私も)。

人はみんな生まれつき異なる乗り物に乗っている。似ている乗り物の人とは気が合う。乗り物の見た目が違うと、緊張しちゃう。乗り物が壊れるときもある。でも修理してくれる人がいる。この見開き2ページだけでも、たくさんのメッセージを伝えられます。

「テーマが難しい」とか「面白くない」とか、辛口の評価もありますが、逆に言えば、読み方によって小さいお子さんから小学生を超えても、十分に味わえる絵本だと私は思います。

ちなみに共著者の伊藤亜紗さんによる「目の見えない人は世界をどう見ているのか」もベストセラー。「視覚があるから死角が生まれる」など、まさに”目”からウロコの本でしたので、ぜひ読んでみてくださいね。

(4)ねえさんの青いヒジャブ

<作品情報>

作者:イブティハージ ムハンマド、S.K.アリ(野坂悦子・訳)
出版社:BL出版
価格・料金:1,760円

<感想>

イスラム教徒の女性が髪をおおうための布、「ヒジャブ」。12歳になったお姉さんがヒジャブをつけて、はじめて学校に行く日。からかう友だち。味方でいてくれる友だち。素敵なブルーの色彩にひきこまれながら、異文化を体験できます。そして「差別やいじめにあったとき、くじけないエネルギーをもらえる本」という口コミがありますが、まさにそんな一冊です。

「ヒジャブをつけるとさ、強くなれるんじゃない?」と私が言うと、「おれもヒジャブつけたいなぁ〜」と長男が一言。そしてこの本を読んだ数日後、たまたま近所の駅でヒジャブを着けた女性を見かけ、「わー!ヒジャブだ!ヒジャブ着けてる!すごい!」と感激していました。異文化理解とか、難しい・深いことは分からなくても、誰かのファッションを尊重できるという点だけでも、素晴らしい体験だなと思うのです。

ちなみに著者のイブティハージ ムハンマドさんは、アメリカ女性として初めてヒジャブをつけてオリンピックに出場したフェンシング選手です。かっこいい!

(5)しげちゃん

<作品情報>

作者:室井滋
出版社:金の星社
価格・料金:1,430円

<感想>

「しげる」という名前は、男の子にかんちがいされるから、いやだ!という女の子のお話。名前を変えたい、とお母さんに伝えると…。名前をつける親の思いは、時代を越えても変わりませんよね。小学生への読み聞かせでも、みんながしーんと真剣に耳を傾ける、と評判の一冊です。

私も自分の名前が嫌いだな〜と、小学生の頃に母に言ってしまったのを思い出しました。その時に母は「そうなんだ。名前、変えようとおもったら変えられるんじゃないの?」とあえて軽く流してくれましたが、親になった今、自分はなんてひどいことを言ったんだろうと反省しました…。

我が家ではこちらを5回くらい読んだ後に、「●●くんは、自分の名前好きだよ!」と長男が言ってくれたのが、とっても嬉しくて思い出に残っている絵本です。

さよママ流・絵本の選び方

さて、息子も私もはまった絵本をご紹介しましたが、これらは全部、最初に「私が」いいなぁと思った絵本たちでした。Amazonのおすすめ商品に出てきたり、育児書のおすすめ絵本として紹介されていたり、SNSで知り合いが「この本良かった!」と紹介していたり。「子どもが気にいるか気に入らないかはわからないけど、私は読みたいから、買おう!」と決心した本たちでした。

私が読みたい!と思っている気持ちが伝わるからか、親主導で選んだ絵本でも、わりと子どもたちは食いついてくれることが多かったです。子どもにわかりにくいと思う表現は、やさしい表現に言い換えたり、長くて飽きちゃうかな?と思う分量の本は、適宜、言葉の数を減らしたり。それでも子どもなりに感じる部分はあるようですし、子どもなりに受け取れるメッセージがあれば良いと思っています。

なかには完全に「お子さん主導」で選んでいるケースもあると思いますし、それも素晴らしいと思います。私がフルタイム勤務のため、なかなか子どもを連れて本屋に行ってゆっくり選ぶ時間がないこと、コロナ禍もあり図書館にも行きづらくなってしまったことから、自然とこういう選び方になりました。また「親が与えてみないと、子どもには見えない選択肢」があるよなぁという思いもありました。

ヒジャブという布をつけた人が身近にいない子どもが、自分から「ねえさんの青いヒジャブ」を選ぶかというと、たぶん無いなと。それなら親が与えてみて、反応を見てみたほうが面白そうだな、という思いです。 「お子さんファースト」はもちろんとっても大事ですが、「私も読みたい!」という絵本を「親ファースト」で選んでみると、また違ったお子さんの一面が見られるかもしれません。