【英語教育】大人になってから英語を学び海外移住した純ジャパニーズママが、バイリンガル育児について考えてみた。

ざっくり言うと

  • 英語早期教育で子供をバイリンガルにすることは、実は色々な能力を備わすことができる!
  • バイリンガル育児に必要不可欠な要素がわかる!
  • バイリンガル育児ができなくても、専門知識と対人スキルがあれば意外と世界で活躍できる!

グローバル化の波を大いに受け、日本でもいよいよ国を挙げて英語教育改革が始まりました。我が子の将来のため…と早期英語教育への投資を考えている親御さんも少なくありません。近年では学習環境も進歩し、インターナショナル幼稚園、英語学童といった「ガッツリ系」から、15分のオンライン英会話のような「お手軽系」まで、お財布事情や各家庭の考え方によって沢山の選択肢から各お子さんに合った環境を選べる時代になりました。

一方で、一体何を我が子に与えるべきか判断に迷っていませんか?そこで今回は、「英語は大の苦手!」だった元日系企業OLが、外資系企業の海外オフィスで働きながら日英バイリンガル子育てを体験する中で、バイリンガル育児、また子供を海外で活躍できる人材に育てることについて考えました。

1.バイリンガルは賢い?「英語がペラペラ」だけではないバイリンガルのメリット

「始めるのはちょっとでも早い方がいいかしら」、「他のお家のお子さんも通っているみたいだし」と、なんとなくお子さんの英語教室の口コミやレビューを検索している親御さん、心の中では「でも、こんなに高いお金を払ってまで我が子をバイリンガルにする必要って、本当にあるのかしら」なんて考えていませんか?英語がペラペラでかっこいい、世界中の人とコミュニケーションが取れる、将来いい会社に入れるかも…そんな理由の他にも、バイリンガルであることには実は大きなメリットがあります。

ズバリ、バイリンガルの子は、より賢いと言われています。海外の数多くの研究で、バイリンガル(またはマルチリンガル)の子供は単一言語を使用するモノリンガルの子供に比べて、問題解決能力、マルチタスキング、創造的思考に優れ、細部に集中する能力に長けていると結論付けられています。これは複数言語を使用することで問題解決等の認知を司る脳の領域が刺激されるためで、実際に各子供たちを集めて行われた実験でも実証されました。

こうした背景から、近年バイリンガル教育は日本以外の欧米諸国でも重要視されており、私の住むオーストラリアでも家庭内では英語以外の言語を話すことが公に推奨されています。英語教室の料金は決して安いものではありませんが、バイリンガル育児の過程で英語以外の才能も一緒に開花させることができるかもしれないと考えると、少し家計を切り詰めてでも投資する価値はあるように思います。

2.バイリンガル育児、押さえておきたい4つのポイント

では、子供をバイリンガルに育てるためにはどうしたら良いのでしょうか。いくつかの文献と、ヨーロッパ出身で5つの言語を話す「マルチリンガルママ友」アンの経験をもとに、ぜひ押さえておきたいポイントをまとめました。

(1)英語を使わなければならない状況に身を置くこと

まずは、当たり前のようで実は盲点になりやすい、英語を「絶対に使わなければならない」環境を整えましょう。英語教室でもオンライン英会話でも、英語オンリーのルールを先生と徹底するのが重要です。もし英語OKな親御さんが家庭内で応用するのであれば、「○時から×時までは英語で話そうね」とルールを決めましょう。ただし、親子間のコミュニケーションにおいて子供を無視する、日本語がわからないふりをするなどは厳禁です。

お子さんが英語だけと決めた上で日本語で話しかけてくる場合、英語での伝え方がわからないだけかもしれませんので、その時は英語での伝え方を優しく教えてあげましょう。

(2)ネイティブスピーカーのいる環境に身を置くこと

ネイティブスピーカーと過ごすことで、コミュニケーション時の彼らの動作や表情、リアクションなどを肌で感じることができます。後にも触れますが、海外での英語でのコミュニケーションにおいては英語の流暢さ以外に、ノンバーバルコミュニケーションも含めた対人スキルがとても重視されます。もちろん、ネイティブの発音が身に付くのもメリットの一つです。

(3)ロールモデルとなる人を見つけること

子供は、大人が思う以上に周りの人から影響を受けています。マルチリンガルママ友・アンの場合は、従姉が様々な言語を使い分けてバックグラウンドの異なる親族たちと会話しているのを見てぼんやりと憧れを抱いたことがきっかけで、いつしかその従姉が言語面に限らず彼女にとってのロールモデルになったのだとか。

英語環境の習い事を検討するのであれば、見学時にはお子さんが仲良くなれそうな子がいるかということだけでなく、お子さんのロールモデルになるような子がいるかどうかということも気にしてみてはいかがでしょうか。もちろん、先生だってロールモデル候補の対象です。

(4)「楽しい」「嬉しい」を感じられること

「英語が話せること=良いこと」頭で理解していても、英語(またはその環境)が嫌い・苦手という感情があると、子供は本能的に拒否反応を起こします。そのため、環境選びにおいては子供が本能的に「楽しい!」と感じることができるかどうかも判断基準にしましょう。スポーツや音楽などを通じて達成感を積み重ねることで、ポジティブな感情を持ちやすくなるかもしれません。

またレッスンのあとのご褒美で子供を「釣る」のも時には効果的です。(私も、水泳教室のあとのミスドが大好きで、そのために水泳を頑張っていた記憶があります!)

3.バイリンガルでなくても問題なし!真のグローバル人材に求められるものとは

一方で、長期的に英語環境に通わせるには相当な費用がかかりますし、送迎など親御さんの負担も少なくありません。また、お金をかけて理想的な環境を整えたところで、最終的に子供が行き渋ればそれまで。こうした場合、これまでの話とは一転しますが必ずしもバイリンガル育児にこだわる必要はありません。

私は米系企業のオーストラリア支社に勤めていますが、同僚は全員が全員流暢に英語を話すわけではなく、アクセントも人それぞれです。実は、みなさんが思っている以上に海外で働く上では英語の流暢さ以外のことが重視されています。

一つは知識・経験・スキルです。業務経験はもちろんですが、専門学校・大学・大学院での勉強から得られる知識やスキルに対するニーズが非常に高く、これは、「学部不問」という条件で募集をかける企業と「配属先未定」という条件に応募する学生とのマッチングをはかる日本の新卒採用とは全く異なる考え方です。

そしてもう一つは、対人スキルです。例えば、静かで大人しい人は日本では「冷静で仕事ができそう」という印象を与えるかもしれませんが、海外では残念ながら「どういう人かイマイチわからないから、関わらないでおこう」と思われてしまう対象です。

社会人大学院生として通う大学院の授業でも、英語が流暢でなくてもハキハキと積極的に意見する姿勢がより好まれます。逆に大人しい生徒は「関わる必要なし」と置いてけぼりにされてしまいます。子供をバイリンガルとして育てるメリットは挙げればきりがなく、投資価値は高いと思います。一方、それが難しいのであれば、思い切って方針転換し、海外で活躍する上で必要とされる専門性が身に付くよう子供が興味を示す分野に時間とお金を割いた方がよっぽど費用対効果が高いと思います。英語を学ぶのに遅すぎることはありません。

ジャパニーズ・イングリッシュでも、カタコトの英語でも、意外と大丈夫。大切なのは、自ら積極的に学ぶこと。そしてそのタイミングは子供本人が決めることと腹をくくって、私たち親は冷静に見守ることにしましょう。