メンタルリープとは?メンタルリープの基本と活かし方、活用例【海外育児】

ざっくり言うと

  • 日本での知名度はまだあまり高くない「メンタルリープ」、海外ではもはや定番
  • 概要だけ理解するだけで、初めての育児が少し楽になる
  • 高価なおもちゃを買わなくても、費用をかけずに赤ちゃんの発達をサポート

「メンタルリープ」というワードをご存知でしょうか?私の住むオーストラリアでは、ママ友とのコミュニケーションの中でもよく耳にする言葉で、「ねぇねぇ、第5メンタルリープの経過はどう?うちはもう散々、今までのリープの中でも最悪じゃない?」「第4メンタルリープに入るから心の準備をしていたのに、特に大きな変化もなかったのよ。拍子抜けしちゃった。」なんて会話はしょっちゅう。

近年、日本での認知度、評判も上がってきているようですが、感想や口コミを語る日本語のサイトは少ないように感じたので、今回はメンタルリープについてご紹介するとともに、メンタルリープとの上手な付き合い方について、実体験をもとにした私なりの考えをまとめました。

メンタルリープとは?

初めての経験でなかなか慣れない中、朝から晩まで赤ちゃんのお世話をしている世の中の新米ママ・パパのみなさん、お疲れさまです

・いつもご機嫌だった赤ちゃんが、よく泣いたりぐずったりするようになった
・夜は通しで寝ていた赤ちゃんが、数時間毎に何度も起きるようになった
・昼間、夜間問わずママの抱っこでないと寝なくなった

初めての赤ちゃんを育てるママ・パパなら、少なからずこのような経験をしているのではないでしょうか。実際に、私の娘は生後2ヶ月辺りから夜通し寝てくれる典型的な“手のかからない赤ちゃん”なのですが、これまでに数回、約1週間にわたって夜間1~2時間毎に起きては泣く、という大変な期間がありました。
なぜ泣いているのだろうと夜中に娘を抱きながら途方にくれたものですが、これが実は赤ちゃんがメンタルリープ中である典型的なサインの一つだったと後から知ることになりました。先に示した3つの事例についても、実は私のママ友が実際に経験したメンタルリープ中の赤ちゃんの変化です。

メンタルリープとは、オランダのプローイュ博士が「The Wonder Weeks」という本の中で提唱している赤ちゃんの脳の急激な成長期のことで、生後20か月の間に10回起こるものと考えられています。メンタルリープ中の赤ちゃんは通常に比べて泣く・ぐずる・不機嫌になる等、ママ・パパを困らせる変化をもたらします(いわゆる睡眠退行もそのうちの一つです)。

また各メンタルリープの前後では赤ちゃんの精神面、行動面の発達を観察することができ、これらを総称し「ワンダーウィーク」と呼びます。各段階の具体的な時期や成長の内容については、以下を参照してください。

回数メンタルリープの名称起こる時期(出産予定日から起算)主な成長や変化の特徴(事例)
第1メンタルリープ五感のリープ4-5週頃新生児の頃より感覚が研ぎ澄まされ敏感になる。何かを気に入り、集中するようになる。
第2メンタルリープパターンのリープ8週頃周囲の物のはっきりとした色や柄を理解し好むようになる。自分の手足を発見してじっと見つめたり、特定のポーズを取ったりする。
第3メンタルリープ推移のリープ12週頃動く物を目で追って時に頭を動かすなど、物の動きを理解することができるようになる。手足を使って、目に見える物をスムーズに蹴ったりするようになる。
第4メンタルリープ出来事のリープ19週頃短い時間に連続して起こる一連の出来事(例:跳ねるボールを落とすと地面から跳ね返ってくる)を理解するようになる。
第5メンタルリープ関係のリープ26週頃出来事のリープで覚えたイベントの蓄積により、ママと離れることを嫌がる等、物事の関係性や距離を理解するようになる。
第6メンタルリープ分類のリープ37週頃 (36-40週の間)例えばバナナとほうれん草の見た目、触感、味の違いがわかるようになるなど、同類の物を更に細かく分類することができるようになる。
第7メンタルリープ順序のリープ46週頃物の形を理解してそれに合った穴に入れるなど、目標に対して何をしなければならないかという順序を理解するようになる。
第8メンタルリープ工程のリープ55週頃スプーンを使ってカップの中身をすくうようになるなど、「もしこれをしたら、あれが起こる」という一連の流れを理解するようになる。
第9メンタルリープ原則のリープ64週頃同じ動作を何度も試すことで、物事の原則を見つけようとするようになる。
第10メンタルリープ体系のリープ75週頃自分の友達と自分の親が違う存在であることを理解するなど、物事を体系的に理解するようになる。 自分の意思をもって、態度や行動を選ぶようになる。

日本の母子健康手帳や育児本にも「赤ちゃんは○ヶ月頃に○○ができるようになる」といった記載がありますが、それとも比較的リンクしているというのが私の感想です。赤ちゃんの行動だけでなく、心理面の発達の過程も段階的に見ることができますね。

メンタルリープをどう活かす?

先に述べた「前触れもなく急に夜中に泣くようになった」経験について、もしメンタルリープの存在を知らなければ、「なぜ泣いているんだろう」「この夜泣きはいつまで続くのだろう」と不安な気持ちになってしまったと思います。しかし、幸いメンタルリープに関する知識を得たことで娘が夜泣きをする理由がわかっていた私たちの場合は、気持ちに随分余裕をもって対応することができました。

また、あるママ友はメンタルリープに入る頃を見計らって旦那さんと夜間対応の役割分担を事前に行ったり、昼間少しでも楽ができるよう食事を作り置いたりと(このママ友の赤ちゃんはメンタルリープ中は昼も夜もママの抱っこでないと寝なくなるそうです)、できるだけ準備をしておくのだそうです。このように、メンタルリープの存在と発生タイミングを知っているだけでも、身体・精神的に大変な育児に対してポジティブに向き合うことができます。

なお、メンタルリープは必ずしも、全ての赤ちゃんに起きるものではないという研究者もいます。「メンタルリープ中のはずなのに、様子がいつもと変わらないけれど大丈夫かしら」、「メンタルリープを終えたはずなのに、あまり成長が見られない」などと不安になる必要はないのでご安心ください。

活用例:より効果的なおもちゃを選択!

私がメンタルリープの存在を知ったのは、娘が生後約3ヶ月になった頃でした。それまでは、娘のおもちゃを買うときには赤ちゃん用品店のおもちゃコーナーでパッケージに記載された「○ヶ月から」を参考にしたり、娘の前におもちゃを見せて興味を示したものを買ったりと(赤ちゃんはお気に入りのおもちゃがコロコロ変わるので、今思えばこればあまり良いアイデアではありませんね)、親として深く用途を考えて購入するということをしてきませんでした。
しかし、メンタルリープの存在を知ってからは、どのリープを経てどんな発達があるのか、ということより意識するようになり、おもちゃを買い与えるときには積極的に参考にしています。

また、最近はおもちゃに投資をしなくても、無料で、家にある物あるいは私自身で娘の発達を助けてあげられるのでは?と思い、試行錯誤しています。

例えば、第4メンタルリープ後に手先がより器用になった娘におしりふきケースを与えてボタンを押すとふたが開くということを教えてみたところ、いつの間にか器用にボタンを押すようになりました。

また、第5メンタルリープを経て私との距離感がわかるようになってからは、私がキッチンの陰に隠れて「ばぁ!」と言いながらカウンターから姿を現す遊びが大ヒット。毎回ケラケラと笑ってくれるので、とても遊び甲斐がありました。他にも、娘と私のオリジナルの遊びがいくつかありますが、それはまたいつか別の機会にご紹介できたらと思います。

さいごに

メンタルリープのような指標はあるものの、発達のスピードや順序は全ての赤ちゃんによって異なります。

大切なのは、ママ・パパ自身が赤ちゃんをしっかり観察すること、どのような形でも良いので発達のサポートをしてあげること、そして赤ちゃんと自分との信頼関係を信じることです。メンタルリープの存在を知り、ワンダーウィークの情報を頭の片隅に置いておくことで、心身ともにより余裕をもって赤ちゃんと接することができると良いですね。