【STEAM教育インタビュー “Math”】理系脳は育てられる?「算数オリンピック理事 中屋敷氏」(2)

ざっくり言うと

  • 算数好きを育てる!アルゴクラブでは遊びながらの勉強?!
  • 算数オリンピックの入賞者に特徴あり?どんな家庭の子が多いのか?
  • 算数オリンピック上位者は幼児期どんな風に学んでいた?!

算数、数学が好きな子に育てるのは?共通点はあるの?理系脳って育てられるの?算数オリンピックの理事と算数を楽しんで学べるアルゴクラブの代表を務める中屋敷氏が考える、これからの時代に必要な幼児教育とは?

<経歴>
アルゴクラブ代表、算数オリンピック委員会理事。「考えることが好きになる」を合言葉に小学校低学年を中心とした数理指導を行うアルゴクラブを主宰している。

アルゴクラブ・算数オリンピックについて

アルゴクラブがどのような塾か教えてください。また対象年齢はどのくらいかも教えてください。

アルゴクラブという塾があるわけではなくフランチャイズとして、メソッドと教材、指導の方法などをパッケージとしてお渡しして、○○幼稚園アルゴクラブといったように展開しています。

幼い頃から算数好きに育てようという方針で運営しています。対象年齢は、基本的には年長さんから小学校五年生くらいで、六年生からは中学受験などに時間を充ててくださいといったスタイルです。

ゆくゆくは中学生や高校生までメソッドを広げていきたいと考えています。学習塾との同時並行に通っている人が過去は多かったですが、現在はプログラミングや英語学習など選択肢の幅が広がったため、学習塾と同時並行で通っているという方は少なくなったと感じます。

アルゴクラブの数理指導が他と違う特徴があれば教えてください。

すべてが違うと思います。算数を座学ではなく、パズルだと感じるように教えていることに加えて、自前のアルゴゲームを行うなどといった遊びながら勉強を行うという点で、かなり他とは違う指導方法なのではないかと感じます。

算数オリンピック委員会理事もされていますが、算数オリンピックとアルゴクラブの関係についても教えてください。

アルゴクラブで算数が好きになり、そこから算数オリンピックに出場するという流れはあります。算数に没頭している子供たちが、どのような経緯でこれほど算数が好きになるのか、両者に携わることでその過程をみることができました。

その知見から、子どもたちが自ら算数を遊び化、ゲーム化するためにはどうすればいいのかが少しずつ分かるようになり、アルゴゲームをはじめとした教材を作つことにもつながりました。

私たちが小さい時から算数オリンピックはあるイメージですが、算数オリンピックについてどのような大会かもう少し教えてください。

何万人規模ではないですが、小学生から中学生にかけて5つのステージに分けて開催されています。参加者や受賞者の男女比は、ほぼ半々です。

しかし中学の部の大会は男子校などで数学に特化した学校が存在しているため男女比としては少し男子の方が多いです。

算数オリンピックで入賞することにどのような意義やメリットがありますか?

メリットとしては、子どもの自己肯定感があがることや、たとえ負けてしまっても挫折というものを経験できるという点が挙げられます。

わかりやすく説明すると、教育に対して意識の高い親御さんを持ち、優秀な子どもたちが来るため、挫折感を持たずにこの大会に出場する子どもが多いのです。ですが、テストでは今まで経験したことがないほど難しい問題に直面し、日頃の授業の算数は解けるのにもかかわらず大会の問題は解けないという初めての挫折をそこで経験するわけです。そういう子どもたちが、それをばねにさらに力を伸ばすことができるというメリットがあると思っています。

算数オリンピック上位入賞者に特徴はありますか?どのようなご家庭の子が多いでしょうか?

一番大事であるのは家族の対話力であると思います。子どもからの問いかけに対してどれだけそれに時間をかけて一緒に考えてあげられるか、これが大事かなと思います。

幼いころから問いを子ども自身から引き出して対話のキャッチボールがきちんとできている家庭の子どもが多いため、親子間の会話が多いという特徴があると感じています。

算数オリンピック上位入賞者は幼児期にどのようなことを学んでいたかわかれば教えてください。

問いが大切だと思います。子どもが幼稚園児であっても家族の会話にきちんと参加し、たとえばサッカーのテレビを見ていたとしても、戦略を考えるこや、16チーム参加していたら何試合、試合が行われるか考えること等、会話の中での問いの会話が随所で行われているかどうかが肝ですね。

理系脳は遺伝で決まってしまいますか?教育で変えられますか?

脳科学者じゃないので詳しいことはわかりませんが、家庭の雰囲気はとても大切だと思います。例えば、家族が読書していたら子どもも自然と読書に興味を持ち自ら読書をするようになるのではないでしょうか。算数に関してもそれと同じだと思いますよ。

アルゴクラブで学んだ生徒たちや算数オリンピックで入賞した方たちが社会でどのように活躍されているか教えてください。

アルゴクラブの卒業生の社会に出てからどうなったのかなどといった後追いに関しては、あまり行っていません。

しかし、アルゴクラブの卒業生が大学生となりアルバイトとして働いてくれることも多く、その子たちからアルゴクラブの同級生が、東京大学の数学科に通っているないしは、海外で活躍していたりなどと話を聞くことはよくあります。

卒業後も活躍している方が多いのですね。
ありがとうございます。
次回は具体的にこれからの社会どのように必要な能力を身につけていくべきか、これからの教育についてお話していただきます。