【STEAM教育インタビュー “Technology”】職業は「医師&社長」山田裕揮氏に聞く幼児教育(2)

ざっくり言うと

  • 医者と社長の共通点とは?
  • ぶっちゃけどっちが儲かるか!?
  • 医療ベンチャー業界の行く末は…?

医師でもあり、ベンチャー企業社長でもある山田氏は、一体どんな教育を受けてきた?!
2つの職業に共通するマインドとは?!

自身も指定難病と闘う患者でありながら、医師と社長、二つの顔を持つ山田氏のキャリアとビジョンに迫ります。

<経歴>
和歌山県立医科大学出身。自身が厚労省特定難病疾患を持つ患者であり、リウマチ膠原病専門医。自身が医学生の時に地元に専門医が不在のため患者として地域医療の課題を痛感する。堺市立総合医療センターで初期研修時に奄美大島で離島医療を体験。その後聖路加国際病院、慶應義塾大学病院を経て自分一人では全ての地域の患者さんを救えないことから、仕組みから地域医療現場を変えることを志し株式会社Mediiを創業。

医療の仕事に携わる

いつから医師の仕事に興味を持っていたのですか?

医学部を選んだ後に、今の専門科を選んだきっかけとしては私自身が難病であるということが大きく関わっています。また、当時学問としても未知の領域が多く興味を持ったため、リウマチ膠原病専門医を目指しました。

離島医療の後、聖路加国際病院、慶應義塾大学病院を経験されていますがそれぞれでどのようなことを学べましたか?

人間の体は全身つながっているため、内科の先生になるためには一部の臓器しか診察できないでは成立しないと思います。病態も複雑になることが多いということも相まって、かなり多くの知識を必要とします。

そのためいろいろな知見を得ることのできるところを選んだ結果、先ほど挙げられた(上記)病院でリウマチに関する知識はもちろんのことそれに付随する知識も学びました。

転換期へ。医師から社長へ。

現在の仕事内容を教えてください。

地方で働く医師たちからでも、分からないことを直接専門家の人に聞くことができるというサービスを取り扱っています。田舎にはすべての部門において専門家がいない場所が多く、専門外の診察を請け負うことが多いことが現状です。
そのため地域医療が十分でないと感じたため、それらをクラウド化することで地域医療のサポートアップをするようなシステムを作っています。

なぜ起業しようと思ったのですか?また、どのように、どのくらいかけて起業したのでしょうか?

2019年ぐらいから起業を考えていて自分が地元に帰ったとしてもできることは限られているため、地方の医師不足を解消するには自分がシステムを作らなければならないと思ったことがきっかけです。

知り合いのつてを通してスタートさせました。
期間としては1年から1年半ぐらいかかりました。

医師と社長、共通して必要な能力は何かありますか?

トップの人に共通しているのは、”自分のやりたいことに関してあきらめずに続けている”ということかなと思います。

その物事に対して強い思いを持っていて、継続する力を持っているという点や、各々がオリジナリティを持っているという点も共通していると思いました。

ぶっちゃけ、どちらのほうが儲かりますか?

医師としての方が儲かると思っています。
開業してしまえば安定して2~3千万円儲かりますし、資金のない中で0から起業をすることと比べると結構変わりますね。
僕の場合はお金をどれだけ持っているのではなく、やりたいことをやるということを意識しているのもあると思います。

小さい頃の自分に何かアドバイスできることはありますか?社会に出た今、何をやっておけばよかったと思いますか?

恋愛のアドバイスですかね(笑)僕は後悔だけはしないようにその時できる限りのことはしてきましたし、勉強も仕事も失敗は成功までの通り道だと思ってきたのですが、恋愛だけは失敗で終わってしまうこともありましたので(笑)

僕は自分自身にアドバイスをするとするなら成功しているか失敗しているかは結果次第であるため、あんまり気にしていません。


そのため、医師になったことや起業はただの手段ですし、「これを選ぶとよい」という考えもないため、その時の熱を持ったものに一生懸命になれるのであれば何をしてもいいと思うし、自信を持てばいいと言いたいですね。

医療ベンチャー業界の展望

現在の医療ベンチャー業界をについてどう思っていますか?
また、今後この業界はどうなっていくと考えますか?

日本の医療は世界を牽引してしまっている超高齢社会である観点でだんだんと脚光を浴び始めていて、国が医療に対して大きな予算を割いていることとデジタルヘルスに注目が集まっていることから、人やお金がこれからどんどんと流れ込んでいます。

また、人がいる限り残念ながら病気は生まれるため、医療の需要が絶えない上に、高齢化が進んでいくということも踏まえて、僕は医療市場は今後も有望視されやすいのではないかと思っています。

生まれ変わってもまたこの業界に進みたいと思いますか?

あまり考えたことはないのですが、生まれ変わったとしたらまた違った考え方を持つのではないかと思います。社会へのインパクトを残したいという思いは変わらないものの、環境や時代に合わせてその時に進みたい方向に進めばそれでいいのではないかなと思っています。

この分野に興味がある場合、どういうスキルや素質があるとプラスになると思いますか?

医師の場合であれば、医療に携わる際に求められるスキルが千差万別にあるため、医学部に合格することができるような強い志を持って食らいつくことさえできれば、どのような能力でも活用できると思います。

それに加えて、商売をするにあたって、商売をする人たちだけでなく資金調達の面においても他の人との協力が必要となってくるためほかの人を引き付ける力を持っていることも大切だと思います。

山田氏の考える教育とキャリアの作り方

公私ともに10年後のビジョンを教えてください。

10年経ったころには自分がやってきたことの是非がわかるころだと思っています。10年後には、あらゆる患者さんのデータがとれているため、地域のお医者さんがそれを参考にして、そのお医者さんが初めて見る症状の患者さんであっても過去の症例に基づいて今よりもより良いクオリティーの診療をすることができるというサービスが完成しつつある状況になっていると思っています。

そのさらに10年後にはそれが世界規模に広がっているのではないかと思っています。

これまで受けてきた教育がキャリア形成に役立っていると考えていますか?

結論から言うと役に立っていないと思います。なぜかというと今までの教育は踏み台でしかないと思っていて、高校の時の勉強というのは受験でしか使ってはいなくて、大学での医師になるための勉強は会社を立てる際には何も使えないというのが現状です。

しかしながら、前向きに学ぶきっかけとなる過程には不可欠であったため、あくまでプロセスとしては僕のキャリア形成に関わっていると思います。

幼児期教育で、目的のために行動することを促すにはどうすればよいと思いますか?

目的のために行動することの重要さを完全に理解することができるのは中学生、又は高校生ぐらいからだと思うのですが、その片鱗が見え始めるのは、脳の構造ができ始める6歳ぐらいからなのではないのかと思っています。

そのため、その目的を好きだと思わせる、環境の変化やきっかけをコントロールして作ってあげる必要があると思います。

本日はお話を聞かせていただきありがとうございました。