ざっくり言うと
- 全員で輪になって、ボールを好きな人に転がします。
- その後ボールを受け取った人が自己紹介をしていきます。
- ボールの数をだんだん増やしていきながら転がしていきます。
- ボールを転がすのは終わり、歌に合わせて全員で大きな輪や小さな輪を作ったりします。
- 親の膝に子供を乗せて、一緒に手を動かす
日本に住んでいるとあまり馴染みのないオイリュトミーですが、どんなものか聞かれたときに説明することはできますか?
正直こんなものという少しの情報は持っていても、全て知っている人は少ないですよね。オイリュトミーは一言では表すことのできない魅力がたくさんあります。
今回はオイリュトミーとはどんなものなのか、そしてその魅力をご紹介していきます。
目次
オイリュトミーとは
オイリュトミーとは、ドイツの哲学者であるルドルフ・シュタイナーによって1911年頃に創られた教育法です。
「eurhythmia」という言葉に由来します。これは古代ギリシアで律動的調和という意味をもっていました。
音楽や言葉に合わせて、身体で表現をすることに意味を持ちます。
そうなんです。ここまで聞いてもそんなに特別感はないですよね。しかし、大きな違いといえば、オイリュトミーはクラシックやジャズを流します。
子供が踊る曲といえば、流行の音楽やアニメなどに使われている曲が一般的ですよね。それにクラシックやジャズを使うとなると少し衝撃が走ります。
確かにちょっと子供にできるのか心配な面もありますが、そんなに難しいものではありません。
音や言葉を身体で表現することが目的なので、「踊る」ということとはまた違います。動きもとても簡単です。
シュタイナー教育について書かれた記事はこちらです。
オイリュトミーでやること(イメージ)
オイリュトミーについて文字で説明されても、どんな感じなのかあまり想像がつかないと思います。まずはどんな動きをするのか動画でご紹介しますね。
オイリュトミーの体験授業はどんな流れで行われるのか見てみましょう。
その先生によってやり方は違ったりもしますが、このような流れで行う授業もあります。体操のようにきびきびとした動きをしないのが特徴です。
オイリュトミーの効果
オイリュトミーは「協調性」や「責任感」や「我慢性」を育ててくれます。なぜこんな効果があるのかというと、
- 正しくきれいに立つ
- 正しくきれいに歩く
- 正しくきれいに動く
こんな動きを子供がすると考えると、すごいことだということは想像がつくと思います。例えばPTAの説明会で一部のお母さんたちが、先生が話していてもおしゃべりが止まらないように、大人でも正しい行動をすることは難しいんです。
全員で綺麗な円を描く、そのうえで正しい動きや、きれいな姿勢、歩き方を学んでいくことによって、
- みんなで綺麗に見せることを目標に動くので、協調性が付く
- 自分がずれると全体がきれいに見えなくなってしまうため、責任感が付く
- きれいに立つ、きれいにあるくのは「だらけない」ことなので、我慢性が付く
人間は一人では生きられません。協調性、我慢性、責任感はとても大事なことです。シュタイナー教育で「個性」を生かしながらも、社会で生きていく術もきちんと学べるんですね。
オイリュトミーには4種類ある
そうなんです。オイリュトミーには種類があります。全部で4種類あるので、ご紹介しますね。
言葉の持つ意味や響きを聞き取りそして理解をし、身体全体を使って表現します。音節一つ一つに没入し、その音が持っている「質」を表現するんです。
音楽の旋律や響きを感じ取り、身体で表現します。人間の骨格と音階が宇宙的な広い空間の中で、構造的に対応した関係にあることを感じ取ることができます。
3歳から高校生までが学ぶオイリュトミーです。オイリュトミーは年齢に合わせてやり方も違います。幼児は思考を使いませんが、大きくなるにつれ、そして大人のオイリュトミーでは思考も使うので、とても疲れを感じるんです。シュタイナー学校や、各教室で行います。
その人の病状に合わせた音の動きを選び、本来の生命力を強めます。そして、自然治癒力を使い健康の力を取り戻すのです。オイリュトミー療法は、精神科、神経の変性疾患、変性・急性の呼吸器・心臓・循環器系の疾患、代謝の疾患など幅広く使われています。
子供にやらせたい場合は、教育オイリュトミーを選びます。シュタイナー学校やオイリュトミーを行っている教室で習うことがでるのでお近くの教室を調べてみてくださいね。
オイリュトミーとリトミックの違い
「音楽を基礎とするものではあるが、単に音楽学習の準備であるにとどまらず、
むしろそれ以上に一般教養の一体系である」(エミール・ジャック=ダルクローズ)リトミックは、楽しく音楽と触れ合いながら、基本的な音楽能力を伸ばすとともに、身体的、感覚的、知的にも、これから受けるあらゆる教育を充分に吸収し、それらを足がかりに大きく育つために、子どもたちが個々に持っている「潜在的な基礎能力」の発達を促す教育です。
リトミックとオイリュトミーが似ていると感じる人は少なくないようです。しかし、オイリュトミーとリトミックは全く別物です。
リトミックは音楽ありきですよね。しかし、オイリュトミーには「言語・音楽・教育・治療」の4種類があります。
オイリュトミーは説明が難しいほど奥が深いんですね。目的は類似するものがありますが、その目的のために行うことが違います。
どちらにも良さがあるので、自分の子供にあったものを選んであげたいですね。
オイリュトミーの先生
一般的な教員免許を持った先生が授業を行うのであれば、もっとシュタイナー教育が広まってもいいような感じもしますよね。
あまり日本に広まっていない理由にもなりますが、やっぱりオイリュトミーの先生は専門的な資格を持っています。一般的な教員免許があっても教えることはできないんですね。
オイリュトミーを教える先生のことをオイリュトミストと言います。2010年時点で日本には70名ほどのオイリュトミストが存在しているそうです。
日本で初めてのオイリュトミスト
日本でのオイリュトミスト第1人者は上松恵津子さんです。ミュンヘンオイリュトミー学校で学び、オイリュトミストになりました。
現在はオイリュトミスト養成講座の講師や、オイリュトミーの体験の講師として活動しています。本も出版されているんですよ。
その後、舞踊家の笠井叡さんもドイツでオイリュトミーを学び、笠井さんの次男の禮示さんもオイリュトミストになっています。
オイリュトミストになるには
オイリュトミストになるには、4年間養成校に通い免許を取得する必要があります。シュタイナー学校で教えている先生たちは、一般的な教員免許がある先生ということではないんですね。
年間150,000円くらいの授業料が一般的なようです。HPで募集されているもの、FacebookなどのSNSで募集されているものなどがあります。
その中の一つをご紹介します。
そして、治療オイリュトミーを行う「オイリュトミー療法士」になるには、4年間養成校に通った後、また更にオイリュトミー療法士養成コースに進まないといけません。
そして、ゲーテアヌム精神科学自由大学・医学部門から認可された免許を取得するんです。とても長い道のりですね。
オイリュトミストである先生たちはしっかり勉強をしたうえで、オイリュトミーの授業を行ってくれます。
オイリュトミーの服装
オイリュトミーを行う際はどんな洋服を着るのでしょうか。
実はちゃんとオイリュトミーを行うときの服装があるんです。
オイリュトミードレス
オイリュトミードレスはひらひらとした、なんだか民族衣装のようなドレスです。手作りにこだわり、素材は綿やシルクからできています。
東京賢治シュタイナー学校の教師ブログでは、布の染色から行っている様子も紹介されていました。
同じシュタイナー教育で手作りの大事さがわかる、ウォルドルフ人形の記事はこちらです。
オイリュトミーシューズ
一見、小学校で履く上履きのようにも見えますが全く別物です。上履きよりは大分薄く、足にフィットし、やわらかいんです。
そして、足の裏には薄いゴムが付いていて滑らないようになっています。オイリュトミードレスの色に合わせて染めたりもするそうですよ。
オイリュトミー専用のシューズなので、普通にバスケットボールをしたりするには不向きなようです。フワフワした動きをするためにこのやわらかい素材が生きるんでしょうね。
そして、楽天などのショッピングサイトで探してみましたが出てきませんでした。現在は専門サイトで買うのが一般的なようですね。
足の先が破れてしまった画像も多数出てきました。そんなになるまでに心を込めて子供たちは取り組んでいるんですね。
頑張りがわかるからと言っても長持ちはさせたいものです。そのために改善された商品なども出てきているようですよ。
まとめ
- オイリュトミーとはシュタイナー教育の一つ
- オイリュトミーは言葉や音楽に合わせて体を動かすだけではない
- オイリュトミーは「協調性」「我慢性」「責任感」を育てる
- オイリュトミーは4種類ある
- オイリュトミーとリトミックは全く別物
- オイリュトミーの先生はオイリュトミストという専門の先生
- オイリュトミーは「オイリュトミードレス・シューズ」を身につけて行う
オイリュトミーは奥が深く、先生も4年も勉強してやっと免許を取ることができるほどです。是非オイリュトミーで「協調性」「我慢性」「責任感」を育んでみてはいかがでしょうか。