ざっくり言うと
- 教科書はなく、テストでの点数評価をしない
- 絵や詩を取り入れ、体を動かしたり芸術体験から学ぶ授業
- 朝の1時間40分、同じ内容の科目を行うエポック授業。同じテーマで3〜4週間集中して行われる
- 意識と身体を一つにし、音楽や言葉に合わせて身体表現する、オイリュトミーと呼ばれる授業
- 初等部・中等部の8年間は担任が同じ
- テレビやゲームを禁止している
- 給食はなく、お弁当を持参する
また昼食以外におにぎりタイムという時間がある(お弁当とは別に軽食を用意する) - どんな学校なのか、まずは雰囲気を見てみたいという場合には予約不要、参加無料の学校見学会に参加しましょう。
- 入学を決意し、入学するために何が必要か知りたい場合には「出会いの会」と言われる入学説明会に出席しましょう。
- 編入学を希望する場合も「出会いの場」にまずは出席しましょう。他のシュタイナー学校からの編入ある場合はそちらが優先されます。定員がありますので、ホームページを確認するか学校へ問い合わせるのが良いです。
- 関西には京田辺シュタイナー学校という全日制のシュタイナー学校がある。
- 関西にはシュタイナー教育を取り入れる幼稚園、土曜スクール、サークルがある。
- 家庭でできるシュタイナー教育、親だからこそできることをしてみよう。
- シュタイナー教育は長期的な目で成長を観察し、『真に自由な人間』を目指すための教育。
日本のオルタナティブスクールへの関心は高まっています。シュタイナー学校は、独自の理念と教育法を掲げるオルタナティブスクールの一つです。
日本でのシュタイナー教育はまだ歴史も浅く、全国でもその教育を受けることができる学校はそれほど多くはありません。ここでは関西でシュタイナー教育を受けられる学校、幼稚園、土曜クラスなどを紹介します。関西で子供にシュタイナー教育を受けさせたいと考えているパパ、ママ必見です。
目次
関西の全日制シュタイナー学校(京田辺シュタイナー学校)
現在、関西には全日制のシュタイナー学校は1校しかありません。京都府南部の京田辺市にあるNPO法人 京田辺シュタイナー学校です。
学校の始まりは1994年で日本のシュタイナー学校としては実績のある学校です。シュタイナー教育を取り入れる同じ幼稚園に通っていた保護者の有志で発起され、最初は土曜スクールからの始まりでした。その後、保護者と教員の努力で2001年に関西で最初の全日制のシュタイナー学校として開校され、初等部・中等部・高等部の12年一貫教育を実施しています。
京田辺シュタイナー学校ってどんな学校?
京田辺シュタイナー学校は6歳から18歳の12年一貫教育を実施する全日制の学校です。木造の暖かみのある校舎で子供たちは12年の教育を受けます。校舎はこの学校のために設計され、上の写真のような木造の建物は日本のシュタイナー学校の中でも珍しいものです。
シュタイナー教育は自然素材や手作りへのこだわりが強く、校舎内のカーテンや黒板など保護者と教員で手作りされたものもあり、双方の関わりの深さやシュタイナー教育への熱意を感じます。
そんなシュタイナー学校には次のような特徴があります。
【学習面】
【生活面】
その他にも、普通の学校とは違うところは挙げればきりがありません。学校見学は都度開催されており、予約不要、参加無料ですのでまずは実際に見てみる事が一番です。
京田辺シュタイナー学校の学費は?
京田辺シュタイナー学校の学費は、在校兄弟数によって変わります。公式サイトには下記のように書かれています。
参加費金額(2018年度、月額)
在校生1人家庭 55,400 円
在校生2人家庭 102,200 円
在校生3人以上家庭 127,800 円
『星の銀貨』という寄付による相互扶助制度を組み合わせています。入学金 生徒一人当たり30万円
施設維持協力金 一家庭あたり25万円以上
他に、法人会費(月額500円)、運営預託金などがあります。
NPO法人京田辺シュタイナー学校 公式HP参加費(授業料・学費)についてより抜粋
子供1人として、京田辺シュタイナー学校の初年度合計は1,214,800円+αです。一方で文科省の「平成28年度子供の学習費調査」によると、私立小学校1年生の学費の総額は1,842,650円です。シュタイナー学校のプラスαを考えると、私立小学校と同程度の費用がかかることがわかります。
京田辺シュタイナー学校の学校見学・体験入学
学期に一度、「出会いの会」という入学説明会と、一月に一度の学校見学会を開かれています。
その他にも大人向けの講演会やエポックノート展やクリスマス誕生劇などの子供たちの作品や演技を発表する催しも開かれています。
卒業資格や卒業後の進路は?
NPO法人である為、6年、または9年を終了しても公的な小学校・中学校卒業とは認められないのです。入学後1〜9年生の義務教育の期間は住んでいる地域の公立学校に法的な学籍を置くことになり、在籍校の協力と連携が必要になります。また、高等部の11年生には、『高等学校卒業程度認定試験』を受けるという対策が取られています。
でも、もしも子供が高等部へ進級せず高校受験を希望した場合、どんなに勉強熱心な子供でも中学校での内申点も大きな評価となります。しかし教育を受けているのはシュタイナー学校で、籍があるのはシュタイナー学校ではないとなると内申点が取れないという事実もあります。
一方、卒業後の進路について、大学受験対策はシュタイナー学校では取り入れておらず、塾や予備校へ通うなどの家庭での対策も必要になります。
シュタイナー教育は、進む道を自分でみつける事ができる、柔軟で強い意志を持った人間を育てる教育だと私は思います。
今の子供たちが大学を卒業する時には、多くの子は今はまだ存在しない職業につくかもしれない、という興味深い話もあります。例えば、仮想通貨なんて誰が考えたんでしょう。何の実態も無いものに価値をつけるなんて、私は最初とても信じられませんでした。しかし仮想通貨は現実に世界中でビジネスとして成功しているのです。
こういった今までになかったビジネスを生み出す発想や、それに適応できる柔軟な姿勢は、シュタイナー教育のような、幼少期の無限の可能性を阻害される事なく長期的な目でゆっくりと心と体、学ぶ力を育む子どもの教育が必要なのかもしれません。
関西でシュタイナー教育を受けられる学校・幼稚園・サークル
どんなことも吸収してしまう乳幼児期にシュタイナー教育を取り入れる事は大きな意味があります。関西でシュタイナー教育を取り入れる幼児教育・幼稚園はどこがあるのでしょうか。
また、全日制ではない土曜スクールや放課後クラブを行っているところもあり、地域の公立学校に通いながらシュタイナー教育も受けるというのも一つの方法です。
関西のシュタイナー教育の小学校・幼稚園・保育施設
和歌山 わかやまシュタイナー学園
和歌山県紀の川市で、全日制の私立教育機関として、小中一貫教育(1年生~9年生)を行っています。
大阪 くすのき園 あびこシュタイナー幼稚園
大阪府大阪市住吉区/認可外保育施設/週1〜3日通園の非定型保育も実施している。
京都 学校法人むそう学園夢窓幼稚園
京都府京都市/学校法人幼稚園/アスレチックや木製の遊具が特徴的な幼稚園です。
京都 学校法人雑創の森学園 そよかぜ幼稚園
京都府京田辺市/学校法人幼稚園/赤い風車が特徴的な園舎。森遊びにファンタジー遊びに全力の園児が魅力的です。
京都 NPO法人なないろの環 なないろの木こどもえん
京都府京田辺市/認可外保育施設/異年齢混合クラスの少人数保育施設
兵庫 ちっちゃなこども園にじいろ
兵庫県神戸市垂水区/可外保育施設・事業所内保育施設/少人数制の家庭的な保育を実施。
奈良 みらい保育園
奈良県大和郡山市/認可外保育施設/保育指導に一部シュタイナー教育を導入されています。
滋賀 NPO法人滋賀シュタイナーこども園そら
滋賀県草津市/認可外保育施設/民家を改修し、少人数制縦割りクラスの保育を実施されています。
関西のシュタイナー教育のサークル・土曜クラスなど
大阪 空堀アントロコミュ
大阪府大阪市中央区/小・中学生向けの放課後クラスや土曜クラスを開いています。
大阪 ひかりのねっこ
大阪府三島郡/親子の集いや小学生向けの土曜クラスを開いています。
大阪 オイリュトミーサークル ひかりシュタイナークラス
大阪府大阪市内/幼児・小学生・大人までシュタイナーを学ぶクラスを月一回開いています。
兵庫 神戸オイリュトミーの会
兵庫県神戸市内/幼児・保護者・小学生を対象にオイリュトミーを体験できる場。小学生のフォルメンも開始。
奈良 奈良子どもオイリュトミー
奈良県奈良市/幼児・小学生・大人を対象としたオイリュトミーサークルです。
家庭でできるシュタイナー教育
子どもの教育とは、学校だけでするものではありません。子育てを経験された方なら実感する事も多いと思いますが、シュタイナー学校でも公立の学校でも同じことです。学校・教員と、家庭の連携の中で子どもたちはのびのびと成長する事ができます。
シュタイナー学校が近くになくて通えなくても、親として家庭でできる事、親だからこそ子どもにしてあげられる事があるのではないでしょうか。
家庭でできるシュタイナー教育について書かれている本もありますので参考にしてみてください。
そもそも、シュタイナー教育とは?
シュタイナー教育は1919年にドイツで最初のシュタイナー学校ができてから2019年で100年を迎えます。独特の教育法ばかりが取り上げられがちですが、そもそもシュタイナー教育とは「自由への教育」と言われています。本当に大切なことを見極め、自分の道を自分の意思で選択できる、『真に自由な人間』を目指すための教育がシュタイナー教育です。
これって、ごく普遍的な人間の欲求だとは思いませんか?
早期教育を勧める育児も話題になりましたが、今また反転して早期教育は子供に悪影響を及ぼすという意見が増えつつあります。育児の方法や教育法はいつの時代も論議を繰り返していますが、そんな中で100年間続いているシュタイナー教育は人の成長を根本から捉え、多くの親の共感を得ている教育法ではないかと言えます。
シュタイナー教育では人生を7年周期で捉え、幼少期には3段階の成長があると説いています。良い職業に就くための教育ではなく、長期的な目で成長を観察し、それぞれの時期に適したゆっくりと心と体、学ぶ力を育む教育を行っています。
第1期(0〜7歳) | 体をつくる | 体を動かす・話すということを通して身体機能が発達する中で意志が芽生える。 |
第2期(8〜14歳) | 心・感情が成長する | 美しい詩・芸術・言葉に触れ、世界は美しいという感動を経験する。 |
第3期(15〜21歳) | 頭・思考する力が育つ | 自分と他人という考え方ができ、その中で自分の関わり方を試行錯誤する。 |
シュタイナー教育についてもっと詳しく知りたい方はこちらの本を参考ににしてみてください。娘さんが実際にドイツのシュタイナー学校へ通っていたという、親目線でのシュタイナー教育の本です。通学されていたのは随分前の事だそうですが、シュタイナー教育について丁寧に書かれていると評判です。
まとめ
教育を受けるための選択肢は広がり、既存の学校へ通う事も通わない事も選べる時代となっている今、従来の学校教育にとらわれずに自分たちにあった教育を選択する家庭は増えています。シュタイナー教育を受けようと考えたらまずは、子供と子供を見守る家族、双方に合った学校や園を探すことが大切です。
全国のシュタイナー学校や、シュタイナー教育のデメリットや、モンテッソーリ教育についての記事はこちらです。