ざっくり言うと
- 小学校受験をせずに中学受験をするなら、じっくり幼児教育に取り組もう
- 小学校受験向け教材は、小学校受験をしない子供にもおすすめ!
- 英語学習は、公立小学校で難化&中学受験後はハイレベル!
小学校受験は志願者が増加傾向にあり、コロナ禍も重なって年々注目を集めています。一方で、小学校受験は回避して、地元の公立小学校から中学受験を考える方も多いでしょう。小学校受験をしなければいわゆる「お受験」準備は必要ありませんから、長期的な視点で幼児教育に臨むことができます。
この記事では子どもの中学受験を考えるママへ、小学校受験をさせないからこそ大切にしたい幼児教育のポイントを紹介します。わが子が地元の公立小学校から中学受験をした筆者による、中学受験の受験勉強も中学校生活もスムーズに進めるためのヒントをまとめました。将来的に中学受験を目指すママにお役に立てれば幸いです。
小学校受験をしなくても取り組みたい、小学校受験向け教材
小学校受験をしない方は、いわゆるお受験教材は関係ないと考えていませんか。実は、筆者がそうでした。上の子が幼児だった頃、私は幼児教育の教材を選ぶ際に、小学校受験対策のものには目もくれませんでした。今思えば、実にもったいないことです。
将来の中学受験の勉強をスムーズに進めるために、実は小学校受験対策の教材がぴったりです。
(1)小学校受験対策の教材は、9歳の壁を乗り越えるヒントになる
中学受験で成績が伸び悩む原因の一つである、「9歳の壁」をご存知ですか?
小学4年生頃から増える、抽象的思考を必要とする学習内容につまずくことを、「9歳の壁」と呼びます。たとえば、算数なら分数・小数や、億・兆のような大きな数、理科では電気のような、目で見たり手で触ったりできずに具体的にイメージすることがむずかしい内容を指します。
スムーズに抽象的思考へ移行するためには、受験勉強が本格化する以前にどれだけ具体物に触れてきたかが重要です。数や図形、虫や植物、冷たい風や急な雨などの天気の変化など、それまでに体験してきたことが、抽象的思考の土台になります。中学受験を見据えるなら、幼児教育ではさまざまな体験を通して、多くの具体物に触れるように心がけましょう。
9歳の壁を乗り越えるためには、どのような体験をすればよいでしょうか。そのヒントになるものが、小学校受験の教材です。
小学校受験対策の教材をチェックすると、
「チョコレートを分けたりケーキを切ったりするときに、数を意識しよう」
「幼稚園に行く前に、玄関の鏡をチェックしよう」
「積み木を並べたら、数を数えてみよう」
のように、子どもが具体物に触れるためにすべき取り組み方が分かります。
ペーパーと呼ばれる紙のドリルのほかにも、小学校受験対策の教材には数や図形を実感できるパズルや遊び感覚で指先を鍛えられる知育玩具もあります。これらの教材に取り組んだ経験は9歳の壁を乗り越えるときに生かされるでしょう。
お受験をしないのですから、「全てを終わらせなくては」「覚え込まなくては」とプレッシャーを感じる必要はありません。まずは子どもが興味を持ったもの、ママが面白そうだと感じたもの、または口コミを参考に始めてみませんか。
筆者は下の子が年中の頃からに、小学校受験塾大手のこぐま会の「ひとりでとっくん100」を取り組ませました。その名のとおり、単元別に100冊そろった教材です。
「点描写」とも呼ばれている教材で、お手本を見て点と点をつなぐ「点図形」は小学校入学後も続けたおかげか、算数の図形分野で困ることはありませんでした。わが子が特に楽しく取り組んでいたものは、「ひも通し」「迷路」「点図形」です。
体系的に取り組みたいなら、年中11月から1年間のスケジュールでまとめられた「ひとりでとっくん365日」がおすすめです。どちらも1冊から購入可能で、気軽にチャレンジしやすいでしょう。
同じく大手塾の理英会グループによる「ばっちりくんドリル」は1冊ずつ購入できて、さらに基礎編や応用編とレベルや目的に合わせたセットもあるので、じっくり取り組みたい方にも便利です。両社ともに評判が高く、おすすめできる教材です。
小学校受験に特化した塾の教材の多くが、通塾していない方でも購入可能です。一般的な幼児教育のドリルと、値段は大差ありません。ただし、限られた書店でのみ販売していることが多いです。実物を見て選びたいなら、事前に書店へ取り扱いの確認をおすすめします。
(2)幼児期の体験が、そのまま中学入試で問われることも
中学入試では、幼児期の体験も武器になる一般常識的な問題が増えています。たとえば、イラストのなかからナズナやシロツメクサといった野の花を選ばせるものや、じゃがいもの根の生え方を問われる問題が出題されました。
近年の中学入試では思考力が重視されると同時に、体験に基づいた知識が問われることも増えています。9歳の壁を乗り越えるために、さらに得点力をつけるために、小学校入試の教材をヒントに具体物に触れる体験を増やしましょう。
小学校・中学校での英語学習を見据えて準備しよう
小学校受験が必要な小学校では、英語教育にほぼ全ての学校が力を入れています。
幼児期の英語学習法は他の記事におゆずりして、この記事では大きく変わった公立小学校の英語学習と中学受験後の「英語あるある」から、子どもが小学校での英語学習を心待ちにすることの大切さを紹介します。
(1)公立小学校の英語学習は、3年生からスタート
公立小学校の英語教育は、2020年4月から大きく変わりました。それまでは5年生からスタートした体験型の「外国語活動」が、3年生に前倒しされています。
さらに、2020年より5年生・6年生は英語が教科化されて、成績がつけられています。公立中高一貫校など一部の中学校では、受験時に小学校の成績などを記載した調査書を提出しなくてはなりませんので、注意が必要です。
小学校で習得する英単語数は600~700単語程度で、過去形や助動詞、疑問詞も学びます。筆者の下の子どもが小学校で教科化された英語を学びました。教科化以前に学んだ下の子のテキストを見た感想が、「とっても厚くなってビックリ!!」でした。それもそのはず、上の子の小学校6年生の英語のテキストは56ページ、下の子のものは127ページと2倍以上だったのです。
(2)小学校でも中学校でも困らないように、まずは英語を楽しく感じる環境づくりを
中学受験を経て入学する中学では、同級生の英語のレベルが高いことが多いです。筆者の子どもからも、筆者の周囲で中学受験をしたご家庭のお子さんからも、英語の得意なクラスメイトが多かったと聞きました。
中学受験後の同級生には、国立・私立小学校出身の子も多くいます。前述のとおり、これらの小学校のほとんどが、公立小学校よりも英語の授業時間が多いです。
中学受験後の筆者の後悔は、入学前の春休みに英語の予習をわが子任せにしたこと。思春期で反抗期ですし、自立するためにも子どもが勉強のイニシアチブをとることはよいのですが、同級生のレベルに達するような予習ができなかったことが悔やまれます。中1準備講座は料金が手頃なものも多いので、塾の下見も兼ねて通ってもよかったかもしれません。
さらに、こんな例もあります。
中学受験では、帰国生入試を実施する中学校も少なくありません。中学受験をすると英語が得意な同級生が多い上に、どの中学校も英語教育に熱心といえます。
幼児期の英語学習は、物理的・金銭的な余力とご家庭の方針でどこまで進めるか決められたらよいでしょう。小学校受験をせずに中学受験を検討するならば、受験後から中学入学に向けて英語の予習に意欲を持つことと、内容が高度化した公立小学校の英語のマスターに努めてください。そのためには、子どもが「英語って楽しい」「小学校で英語の授業が早く始まってほしい」と感じられる環境づくりが大切だと考えます。
まとめ お受験しないからこそ、じっくり幼児教育に取り組もう
小学校受験に関する報道を目にすると、「わが子の同級生は、もうこんなにがんばっている」と焦るかもしれません。中学受験の受験勉強が始まると忙しくなりますから、幼児期の今こそ親子でゆとりを持って過ごすことをおすすめします。
とはいえ、中学受験をすると決意しているのなら、先を見すえてじっくりと幼児教育を行いましょう。小学校受験の教材は中学受験の準備につながりますので、小学校受験をしなくてもぜひ取り組んでください。公立小学校の英語学習の難化と、中学入学後のハイレベルな英語学習に対応するために、「英語は楽しい」と幼児期に感じられるように心がけましょう!