デューイの教育思想・理論を解説!子供が自分で解決できる子に育ちます。

ざっくり言うと

    現在の学校教育に大きな役割を果たしたといわれる、ジョン・デューイ。日本語の文献は古いものが多く、難解な印象ですが、その内容は「この教え方って、当時は新鮮だったのか。」と思うほど、今の教育に息づいています。

    今回はデューイが提唱した理論を簡単に紹介するとともに、家庭教育にも生かせないかを考えてみました。

    デューイの教育理論① プラグマティズム(実用主義)

    教育理論を紹介する前に、デューイのメインの思想をおさえておきましょう。小題の通り、デューイといえば、プラグマティズム日本語では実用主義などと訳されます。

    プラグマティズムと道具主義[編集]
    デューイは自身をプラグマティストとは考えずに、「道具主義」を称した。ジェイムズは英国哲学、とくに経験論と功利主義の系譜にあるのに対して、デューイはヘーゲルに影響を受け、またジェイムズほど多元主義でも相対主義でもなかった。
    「価値」について、それを気まぐれな機能とか純粋に社会的に構築された機能とも考えずに、出来事に組み込まれた質と考えた。
    絶対的に正確な「真理」や「知識」を求めるアプローチをドグマとして考え、「真理」とはむしろ「人々にとってより好ましく信じられるもの」として、その社会的機能や社会関係のなかにおける知識理論を構築した。そしてそれに相応しいアプローチとして、単線的なアプローチに対して、間違えることや紆余曲折を積極的に評価するより複合的なアプローチとしての「可謬主義」を唱えた。
    社会的、文化的、技術的、哲学的な実験を、真理の仲介者といえると主張した。

    wikipedia

    功利主義や実証主義の流れも引いていて、哲学としてはかなり実生活に焦点をあてたものになっています。理想だけではなく実現の可能性なども考慮された、現実的な思想といえるのではないでしょうか。

    そのプラグマティズムの学者の中では、デューイは思想面を重視していることが特徴とされています。複数の人物の影響が考えられますが、中でもヘーゲルの影響が挙げられています。

    ヘーゲルは、歴史の興亡・発展について、その地域の人々の考え方などを明らかにして、哲学の対象としました。歴史の進歩には、人々の考え方のあり方が関わっているとされています。

    デューイの思想は、このヘーゲルの考え方を一個人に当てはめた場合の哲学と言えるかもしれません。

    デューイの教育理論② 自発性を引き出す「問題解決学習」

    デューイの教育理論は、もともとは伝統的な方法への批判がありました。当時の教育は、生徒にとって「受身型」であるとし、「自発性」を引き出す方法を提唱したのです。その方法は「問題解決学習」と名付けられました。

    この名称を聞いても、分かりにくいとは思いますが、「自由研究」や、「調査研究」と聞くと、少し想像できるのはないでしょうか。

    しかし、なぜデューイは「自発性」を重視したのでしょうか。それは、集めた知識を「使えるようにする」ことの必要性を感じていたからです。実のところ、知識は集めたところで使えなければ意味がありません。皆さんも、経験はありませんか。

    デューイの思想と現代の学校教育

    たとえば、学校の歴史の授業では「銀閣寺を作った人は足利義政」と教わります。でも、その事実だけでは観光客の方に銀閣寺の魅力を伝えることはできません。

    「銀閣寺の魅力を伝える」という価値あるものを生み出すには、当時の美意識、建築された時代背景、足利義政の置かれていた状況・・・そういったもの全てを調べていくという作業が必要になってきますよね。

    実際の教育現場で行われている「問題解決学習」は、「伝える」まで到達できるとは限りませんが、ある課題に対して仮説や予想を立てながら解決していくという道筋を大切にしています。

    おすすめ参考書籍

    こちらの文献は、デューイの教育法を更に詳しく学ぶことができます。

    デューイの教育理論を家庭で実践するには?

    学生時代にはさまざまなことを学びますが、実社会に出て驚くことといえば、テキストもテスト範囲もよくわからない中で問題解決することを要求される点ではないでしょうか。

    そのような環境を生き抜いていけるように手伝えることは何か。ここで、デューイの教育理論を思い出してみましょう。

    デューイの教育理論を日本の家庭で考えると

    デューイの方法は自分で学ぶ意欲を尊重することにあります。
    子供が知りたがる答えを簡単に与えることが、良いこととは限らないということになりますね。ヒントを教えてあげるくらいで良いこともあるのかもしれません。

    「この問題が分からない」と泣きつかれた時に、答えを解いてしまって教えるのは簡単です。ただ、そうしてしまうと親や物知りの人物が周囲にいなくなってしまったとき、誰が答えを教えてくれるのでしょうか。

    そうならないためにも、厳しいように見えますが「この公式を使ってごらん。」とか、「そういう問題なら、こういう本を読むと何かわかるかも。」と伝えることで、自分で解決するという力を手に入れてくれれば、一生ものの「解決力」になります。

    ただ、とても簡単な問いかけに見えますが、いざ向き合ってみると、とても難しいことも分かります。私なんかは、大人としてカッコいいところを見せたいと思ってしまうこともありますし、「明日までに何とかしないといけないの」などと言われると心が痛みます。また、短気なものですぐそこに答えがあるのにグルグルしている姿を見てしまうと情けないことにイライラしてしまうことも。

    どうするべきか悩むことはたくさんありますよね。ただ、最終的にはきっと「甘やかす」わけではなく、本当に相手のことを考えたうえで「愛する」という行動を選択しようと心がけていくことが大切なのでしょう。

    まとめ

    ・ジョン・デューイは実用主義を代表する哲学者。
    ・デューイは「自発性」を促す教育方法を研究。
    ・時には、「見守る」ことも大切。

    子供を育てるのは、とても責任を感じてしまいますよね。些細な指摘に「どうしたら良い子になるのかな・・・」とか気になってしまう経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    かく言う私も、親をよく困らせて「どうしてそうなるの?」と注意されたものですが、いつからかやりたいようにさせてくれるようになりました。理由を聞くと「あなたにはあなたの考えがあると分かったからよ。」と教えてくれました。

    自発性を伸ばすということは、ある意味自分とは全く違う個性を見出すということかもしれません。デューイの教育論を家庭教育にも取り入れて、自分なりの結論を出せる子に育ってくれると嬉しいですね。