2020年度より新大学入試が実施されることは、ニュースや新聞で目にしてる方は多いと思います。
「センター試験が終わる」「国語の問題形式が加わる」など耳にすることはあっても、具体的にどう変わるのか?なぜ今変革が行われるのか?など理解できていない方は多いのではないでしょうか。
現役の高校生はもちろん、今後、新大学入試を受けるであろう中学生やその保護者の皆様は不安でいっぱいだと思います。
今回は大学入試がどう変わるかの解説とその対策を国語をメインにまとめてみました。
INDEX
大学入試はどう変わるのか?

現在の国公立大学の一般入試は、センター試験+2次試験で行われますが、以下の2点が今後変わっていきます。
- センター試験から大学入学共通テストへの移行
- 2次試験が学力重視ではなくなる
これだけだと分かりづらいので、説明していきますね。
まず、2019年度(2020年1月)を最後にセンター試験が廃止され、2020年度(2021年1月)より大学入学共通テストに移行します。2019年4月で高校2年生になる人から変わるというわけです。
大学入学共通テストってなんぞや
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)が今までのセンター試験と違う点は、一部の科目で記述式問題が課せられるところです。
2020年度からまずは、国語と数学で導入し、24年度以降は地理歴史・公民や理科の科目にも導入する予定となっております。


2次試験が学力偏重じゃなくなる
現在の国公立2次試験では筆記がメインとなっておりますが、今後は学力では測れない能力、姿勢をみていく内容に変わっていく予定です。
そのために、多くの大学が調査書、志望理由書、学習計画書などの提出や小論文、面接などを課していくことが考えられます。
これまでの学力重視の試験であれば、たとえ一夜漬けの勉強でも試験当日に合格点さえ取れればよかったかもしれません。
しかし、これからは試験問題を解く学力をつけるだけではなく、学生生活を通じて部活、授業、学校行事にもしっかりと取り組む必要があるでしょう。


新大学入試になるのは理由がある
大学入試が変わるのは、文部科学省が現在進めている「高大接続改革」において、「学力の3要素」をバランスよく育成するという目的があります。
- 基本的・基礎的な知識技能
- 知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力 判断力 表現力など
- 主体的に学習に取り組む態度
現行のセンター試験、国公立大学2次試験では①しか満たせていません。
②,③の能力を身につけるために、共通テストで記述問題を課したり、2次試験に面接、小論文、プレゼンテーションなどを加えていく方向になっているわけです。





私立大学の入試は?
私立大学の入試改革に対する対応は、大学によって様々です。
早稲田大学は一部の学部で共通テストを採用する方針を打ち出し、一方の慶応大学は共通テストは使わず独自の試験で選抜することを発表しました。
自分が志望する大学の動向を随時チェックしていくことが大事になってきますね。
入試に関する情報をホームページで公開している大学が一覧でまとめられています。
新大学入試 国語はどう変わる?

大きく変わる点は2つ!
2020年度より開始される、大学入学共通テストの国語が今までのセンター試験と大きく変わる点は、
- 記述式問題がある(3問)
- 試験時間が80分⇨100分になる
の2点になります。
センター試験はすべての問題が選択肢を選ぶマークシート方式でしたが、共通テストの国語では、選択問題に加えて記述式問題が課されます。そして、それに伴い試験時間も延長されています。



出題される文章形式も変わる!
センター試験では、大問一つに対して一つの文章が定型となっていましたが、共通テストでは一つの問題に対して複数の文章が用意されています。
百聞は一見にしかず。まずは2019年1月に実施されたセンター試験国語の問題から見てみましょう。
センター試験は大問一つに対して一つの文章となっていることが分かると思います。
次に2018年に実施されたプレテスト国語の問題を見てみましょう。
第1問でいきなり【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】が登場し、最後にもう一つ【資料】が追加されています。2つないし3つの文章を絡めて考えなければならないわけです。
文章のジャンルも評論、小説にとどまらず、実用的文章、詩、エッセイなど多岐にわたり、加えてポスターや法律の条文など、多様な資料の読み取りが求められる形となっております。



記述式問題の採点方法
「記述式だと採点者のフィーリングで答えが割れるんじゃないの?」と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか?
確かに記述式と聞くと採点官によって結果が左右されそうな気がしますよね。
しかし、回答に記された「正答の条件」というものを見るとその疑問も解消されます。
正答の条件はこんな感じで提示されています。
正答の条件 |
①正答の条件は次の4つとする。 |
②◯◯文字以内で書かれていること。 | |
③〜〜ということが書かれていること。 | |
④〜〜ということが書かれていること。 | |
⑤〜〜ということが書かれていること。 |
採点基準が、
- 字数制限を守っていること
- 求められるキーワードをしっかり拾えていること
になるので、抜き出し問題と同じになります。

そして、3つないし4つの条件をどれくらい満たしているかによって、回答が4もしくは5段階のランク付けがされます。
例えばこんな感じです。
問◯の段階 | a | 条件①~④のすべてを満たしている解答。 |
b | 条件②~④を満たしている解答(①のみ満たしていない) | |
c |
次のいずれか(①は満たしていても満たしていなくてもよい) 条件②,③を満たしている解答(④は満たしていない) 条件②,④を満たしている解答(③は満たしていない) 条件③,④を満たしている解答(②は満たしていない) |
|
d | 上記以外の解答 無解答 | |
(注) 正答の条件を満たしているかどうか判断できない誤字・脱字があった場合は,条件を満たしていないことと なる。 |
こちらも実際の正答条件を見てみましょう
このように記述式の解答は一問ずつに段階を付けられ、マーク式の解答の得点と合わせる形になります。
ただ、段階による点数がいくつになるのかは大学の判断に委ねられているそうです。




また、こちらの動画でも、大学入学共通テストの国語を詳しく解説してくれています。ぜひご覧になってみてください。
勉強、部活を頑張ってるお子さんにはいつも元気でいて欲しいですよね。健康は食事からということで、こちらの記事もぜひご覧になってください。
新大学入試 国語の対策はどうする?

2020年度から開始される大学入学共通テスト(共通テスト)国語で、大きく変更される点の一つに記述式の問題が加わることがあります。
「変化する」って何だか不安ですよね。
お昼ごはんを普段と違うところで食べるとか、今まで着たことがない服を着るとか、日常生活を見ても細かいところで「変化」に不安を感じることがあります。
ただ、よく考えてみれば国語という教科が変わるわけではありません。それまでの模試や試験で記述解答形式は何度も経験しているはずなので、全くの新しい経験というわけでもありません。
そもそもマーク式問題の対策を始めるのって、一般的には高校3年生からか早くて2年生の後半くらいではないですか?変化することにアタフタせず、これまで通りしっかりと文脈を読み取るという基礎を固めることが、共通テストの対策になると考えられます。

もちろん「今まで通り読解力を身につけて基礎を固めていく」ことがベースなのですが、ここからちょっと深堀りしてより具体的な対策を考えていきます。
入試というと「どんな問題が出るのか?」「どのような解答形式になるのか」がつい気になりますよね。
しかし、内容、形式面よりも「どのような力を見ようとしているのか?」をまず理解することが大事なのではないでしょうか。
新テストに変わることにより、受験生にどのような力をつけて欲しいのかが分かれば、学習の対策がしやすくなります。
これからの時代に求められる力
最近のテクノロジーの進歩は目をみはるものがあり、グローバル化も進んでいます。
今までのような知識偏重型の教育では、今後さらに加速するであろう社会の変化に対応できなくなってきます。
これからは知識・技能を得るだけではなく、思考力・判断力・表現力を養い、自らが問題を発見し解決していく力(主体性)が必要となってきます。
記述式問題を通して、今までのセンター試験のマーク式問題ではあまり見ることができなかった、思考力・判断力・表現力をより詳細に見ているのです。
また、解答形式の変化とともに、出題される文章形式も変わっています。
一つの情報(文章)だけからではなく、複数の情報(文章・図・資料)を組み合わせて、思考・判断する力を求められてることがわかります。



今からできること
記述式に不安を抱えている方も多いでしょうが、しっかりと文章を理解して、要点を拾うことができれば点数を稼げるようになっています。

新大学入試では「知識・技能」だけではなく、「思考力」「判断力」「表現力」が強く求められています。
対策として、読解力を身につけるという基礎を固める姿勢は変えず、それに加えて今までのような評論、小説だけではなく、新聞や雑誌のデータ、資料などにも触れる機会を作るのも良いでしょう。
現在はスマホ、パソコンが広く普及しており、気になったり疑問に思ったことはすぐ検索することができます。
その情報をただ受け取るだけではなく、日頃から自主的に一つの物事を多方面から考え、判断する習慣をつけておくことが大事になってくると思います。
もちろん、思考力・判断力・表現力は一朝一夕に身につくものではありません。
しかし、文部科学省は入試方法が変わることを入試から3年以上も前から教えてくれています。
こちらの記事を読んだらすぐに対策を始めて、自信を持って試験会場に向かえるようにしましょう。




大学受験対策に以下の記事も参考にしてみてください。小学生の弟、妹さんの学習に不安がある方もいらっしゃると思いますので、そちらの参考記事も載せておきます。
まとめ
- 2020年度より、センター試験に変わり大学入学共通テストが採用される
- 大学入学共通テストの国語では記述式問題が加わる
- 新大学入試の国語の対策は今まで通りしっかりと基礎を鍛えること
2020年度より大学入試は今までの知識偏重の試験を改め、思考力、判断力、表現力を使い、より主体性が求められる試験へと変わっていきます。
この変革を「ハズレくじを引いた」と考えるのではなく、世の中の変化に対応できる教育へと変わっているのだとポジティブに捉えてもらいたいです。
この記事を読んで、受験生とその保護者の方が、疑問と不安を少しでも和らげることができれば嬉しいです。