2020年度より新大学入試となりますが、英語の試験が一番大きく変わると言っても過言ではないでしょう。
変化するってなんだか怖いし、もしかしたら今より難しくなるんじゃないかと不安になりますよね。
この記事では、そんな受験生の不安を払拭すべく、新大学入試では英語が「どのように変わり」「入試対策をどうしていけば良いか」をメインにまとめてみました。
INDEX
新大学入試では英語がガラッと変わる!

2020年度より大学入試の英語が大きく変わります。
ありえないくらい変わります。
とんでもなく変わります。
発狂するくらい…
すみません、余計ビビらせるようなこと言ってどうするんだって感じですよね。早速ですが、新大学入試の英語がどう変わるのかを見ていきましょう。
新大学入試では英語がどう変わる?
新大学入試で、英語の変更点は以下の2点になります。
- センター試験が廃止され、大学入学共通テストが採用される
- 民間試験も大学入試として活用される
他の教科では見られない、外部の試験も採用されることになっています。
今までの大学入試は「センター試験」「大学の個別学力試験」の2種類でした。
しかし、新大学入試の英語は「大学入学共通テスト」「大学の個別学力試験」に加えて「外部認定試験(民間試験)」の3種類の試験を受ける形になります。
種類も増え、質も変わるということで受験生の方々からは…


という不安の声もあがると思います。
しかし、安心してください。「大学入学共通テスト(英語)」と「英語の民間試験」と分けてしっかりと解説していきます。

※「大学入学共通テスト」と「民間試験」を使うのは2023年度までで、2024年度からは「民間試験」に一本化される予定となっております。
【新大学入試】大学入学共通テスト(英語)の特徴を知ろう!

2019年度(2020年1月)を最後にセンター試験は廃止され、2020年度(2021年1月)より、大学入学共通テストが始まります。
こちらでは新大学入試の英語を、大学入学共通テストをテーマに見ていきましょう。


大学入学共通テストがセンター試験と変わる点をまとめると以下の2点になります。
- 思考力・判断力を試す問題となっている
- リスニングも重要となっている
以下で詳しく説明していきます。
大学入学共通テストでは思考力、判断力が試される
ズバリ大学入学共通テストの英語が今までのセンター試験と変わるところは、「考えさせる問題が増えた」点です。
言葉だけだと理解しにくいと思うので、まずは実際にプレテストの問題を見てください。
センター試験の問題文は、評論文や会話文がメインであり、各問の答えは一つのみとなっていました。
しかし、プレテストの問題をざっと見ただけでも、手紙、料理のレシピ、レポートなど問題文の種類が多岐に渡ることが分かると思います。
ディベートの意見を読み取って回答する設問もあり、より実際の場面を想定した思考力が必要となっています。
また、例えば第4問の問3をみれば分かるように「You may choose more than one option.=一つ以上選びなさい」とあり、答えが一つとは限らない問いもいくつか見られます。
解答が足りなくても、多くてもダメということです。これは判断力も活用されますね。
発音、アクセント、並べ替えなどの単純な暗記で答えられる問題はなくなり、大学入学共通テストでは思考力、判断力を試される問題が増えたと言えるでしょう。

みやび君が良いところに目をつけてくれました。新大学入試の英語は「使える英語」を受験生に身につけてもらう目的があります。
大学入学共通テストに日常に近い文章が多い理由は、実際の生活で英語を使えるようにするためだとも考えられます。

- 設問も英語となる。
- 発音、アクセント、語句並び替えの問題がなくなる
- 選択肢問題の回答が一つとは限らない
- 問題文が文章だけではなく、図、表、グラフなど多岐にわたる
なお、試験時間は筆記試験(リーディング)80分、リスニング60分(うち回答時間は30分)で今までと変更ありません。

大学入学共通テストではリスニングのウェイトが上がる
大学入学共通テストではリスニングの配点が大きくなります。
今までのセンター試験ではリーディング200点、リスニングが50点という配点でした。
しかし、大学入学共通テストではリーディング100点、リスニング100点となります。


今までリスニングが苦手でも配点が少なかったのでリーディングの方でカバーができていました。
しかし、配点が上がることで、大学入学共通テストではリスニングの学習も重要となってくると言えるでしょう。
また、リスニングの方でも、複数の情報を絡めて思考して、判断する問題が増えています。

これからの時代に必要な3つの力



新大学入試は文部科学省が現在進めている「高大接続改革」において、学力の3要素をバランスよく育むという目的があります。
- 基本的・基礎的な知識、技能
- 知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力 判断力 表現力など
- 主体的に学習に取り組む態度

もちろん、考える基盤としての知識、技能は必要ですが、それをもとに自分の頭で考え問題解決していく力が必要となっていきます。
近年のグローバル化、テクノロジーの進歩は目まぐるしく、今後さらに加速化していくでしょう。そういった社会の変化に対応できる教育に取り組んでいこうとしているのです。
※学校教育の基礎となっている、デューイについてまとめています。学校のあり方について一度考えてみるのもいいですね。
【新大学入試】英語の民間試験を知ろう!

2020年度から始まる新大学入試より、英語に民間の試験も課されてきます。



センター試験でも、大学の個別試験でもないテストがいきなり課されるとなると、不安になりますよね。
得体の知れないものには恐怖を感じます。
こちらではまず敵を知ることにより、民間試験に対する不安と恐怖を解消していきましょう。
英語の民間試験には何がある?


普通の高校生だと英検くらいしか思い浮かばないと思いますが、新大学入試で採用されている英語の民間試験は全部で7種類あります。
- 実用英語技能検定(英検)
- TOEIC
- TOEFL
- GTEC
- IELTS
- TEAP
- ケンブリッジ英語検定
※高校3年生の4月〜12月の間に受けた2回までの結果が反映されます。
どうですか?
聞いたこともない試験もあるのではないでしょうか。
種類も多いし、ここで「どの試験を受けたらいいの?」と言う疑問が出ると思います。
英語の民間試験はこれがオススメ!

結論を先に言うと、オススメは英検です。
英検をオススメしている理由を以下に挙げてみます。
- 会場数がずば抜けて多く、住んでいる場所に左右されにくい
- 他の試験に比べると、受験料が安い
- 内容が高校生にも理解しやすい
- 参考書の種類が多くて勉強しやすい
英検は中学校、高校でもなじみ深い試験だけあって、受けやすさは抜群にいいです。
各試験の特徴を「開催回数」「会場数」「受講料」の観点でまとめたものを見てみましょう。


試験名 | 開催回数 | 会場数 | 受講料 |
英検 | 年3回 | 17000 | 約7000円 |
TOEIC※ | 年10回 | 250 | 約15000円 |
TOEFL | 年40回 | 90 | 約20000円 |
GTEC | 年3回 | 57 | 約10000円 |
IELTS | 10回以上 | 50 | 25380円 |
TEAP | 年3回 | 30 | 15000円 |
ケンブリッジ英語検定 | 2〜4回 | 10 | 約10000円 |
※TOEICは「TOEIC Listening&Reading」と「TOEIC Speaking&Writing」の2種類の受験が必要です。受講料もトータルの値段。
他の試験が10000円〜20000円かかるのに対して、英検は準2級以上で大体7000〜9000円代と安くなっており、また会場数もかなり多くなっていることが分かると思います。
英検以外の試験は、会場数が非常に限られており、住んでいる場所によって制限を受けてしまうこともあります。

英検の次にTOEFL、TOEICも耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
この2つの試験は、大学生や社会人が主に受けているだけあって、高校生にとっては難易度は高い試験となっております。
TOEFLは留学する時に受けるもので、元々が英語圏の人を対象に作られています。普段から英語を使っている人が、さらに高いレベルを求めるための試験だと言えます。
また、TOEICはビジネス要素が強い試験であり「経費」などの単語が普通に出てきます。難易度自体はTOEFLほどではないにしても、社会経験のない高校生にとっては馴染みが薄い内容となるでしょう。


特に英検のデメリットも見当たらないので、「何を受けたらいいのか分からない!」という受験生はまずは英検を選択肢として考えてみるのが良いでしょう。
ただ、英検が取り掛かりやすいのは確かなのですが、「自分がどの試験で力を発揮しやすいのか?」はもちろん、もし大学受験の先までを考えているのなら、各々の民間試験の特徴を知ることが大事となります。
民間試験の特徴を調べるのにこちらのサイトを参考にしてみてください。
ここで、悩める受験生からまた新たな疑問が…。


英語の民間試験でどれくらい点を取れば良いの?
新大学入試で使える英語の民間試験は7種類ありますが、実力を図るためにCEFRと呼ばれる共通のものさしを用います。
CEFRとは、分かりやすく言えば「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」の事です。

すみません、先程のはただの直訳だったので改めて解説していきますね。
CEFRとは、英語がどれくらい使えるのかを、国や言語を越えて同一の基準で図ることができる国際的な指標です。
主にヨーロッパなどで学習達成度を測る時に使われており、6段階で評価を出しています。
- C2、C1⇨熟練した言語使用者
- B2、B1⇨自立した言語使用者
- A2、A1⇨基礎段階の言語使用者
下の表を見てもらえれば、得点であったり級であったりと各試験で違いはあっても、CEFRという統一された基準で、学習習得度がどれくらいなのかが見て取れると思います。



こちらの動画は英語の民間試験について解説してくれていますので、ぜひご覧ください。
【新大学入試】英語の対策は?

新大学入試では英語が大きく変わります。

と考えがちになりますが、実際には内容が難しくなったり、問われる内容が変わっているわけではありません。
問われ方が変わっているだけです。

単語、熟語、文法など基礎的な学習は今まで通りに進めていってください。
新大学入試で変わった問われ方に対応するための勉強方法をここでは考えていきましょう。
- 多角的にものを見て考える力をつける
- しゃべる学習に積極的に取り組む
以下で詳しく解説していきます。
いろんな視点からものを考えてみよう!
大学入学共通テストの英語では、複数の資料、情報を比較・検討して答える力が必要となってきます。
これは学力の3要素にある「思考力」「判断力」を育むためですが、これからの勉強で意識して欲しい点は以下になります。
- 普段から新聞、雑誌などで資料やグラフ、データに触れる機会を増やす
- 「なぜ」「だからなんなの?」と問いかける習慣をつける
大学入学共通テストになるからと言って、単語や文章が難解になるというわけではありません。
複数の情報から「何を言っているのか」を読み取る力が必要になります。
そのためには普段から文章以外の資料、グラフ、データに触れる機会を増やしておくと良いでしょう。
そして、ただ情報に触れて終わるのではなくそこから「なぜこうなるのだろう?」「だからなんなの?」と深掘りする習慣をつけておくことが大事です。


実は「複数の情報から考える問題」はすべての教科に共通して増えています。
考える力は、すぐに身につくものではなく時間がかかります。「考える習慣」はこちらを読んだらすぐに始めましょう。

英語からちょっと離れてしまいましたが、新大学入試においては根本的な「思考力」「判断力」が求められるので、こちらでしっかりと説明させていただきました。
次はリスニング、スピーキングの対策ができる勉強法を紹介していきますね。
しゃべりながら勉強する?
新大学入試では「読む(リーディング)」「聞く(リスニング)」に加えて新たに「話す(スピーキング)」「書く(ライティング)」も見るようになっています。
「読む」「書く」は今までの学校の授業でも学習されていると思います。
しかし「話す」「聞く」は普段あまり学習する機会はないのではないでしょうか?

となると…


となりそうですが、英会話教室に通うためにはお金の負担もかかるし、海外の友達を作るのもそう簡単な事じゃないですよね。
自分でできる「話す」「聞く」を有効に鍛えられる勉強法がシャドーイングです。
シャドーイングとは、CDなどでネイティブな英語を聞き、それを追いかけるように発音していく学習法です。


聞く事によって英語のリズム、強弱、イントネーションに慣れてリスニングの強化になり、それと同時に話しているのでスピーキングも鍛えられる、一石二鳥の勉強法になります。

こちらの動画がとてもわかりやすくシャドーイングについて解説をしてくれています。
また、話す事で五感が刺激され、見るだけの場合より記憶の定着率がよくなります。
YouTubeなどで自分が好きな英語を聞きながらシャドーイングするのもいいですが、せっかくなら大学受験につながる単語、熟語を覚えられたらいいですよね。
そこで速読英熟語という参考書、CDをオススメしております。
リスニング、スピーキングの練習をしながら、大学入試に必要な語彙力も一緒に身につけていきましょう。


ネイティブ以外の英語にも触れておくと安心
大学入学共通テストの試作問題であるプレテストにて、リスニング問題に今までとちょっと変わったシーンが出ています。
ネイティブ(英語を母語とする人)と英語圏以外の人が話している場面が出題されてるんですね。
同じ英語でもネイティブとネイティブではない人とでは発音が微妙に違っていたりします。
ネイティブの英語に慣れるのがまず大前提ですが、余裕があればYouTubeなどでアジアなど英語圏以外の人が喋る英語にも触れておくと安心かもしれません。

英語以外の教科も気になりますよね。こちらの記事では新大学入試の国語について解説しています。合わせてぜひ目を通してみてください。
【新大学入試】英語が大きく変わるのは世界を広めるため!





新大学入試の英語は、外部の試験を取り入れたりと大きく変わりますが、その理由は英語の4技能を評価するためです。
みやび君が一つ正解?を出しましたが、英語の技能は4つあります。
- 読む(Reading)
- 聞く(Listening)
- 話す(Speaking)
- 書く(Writing)
4技能を身につけるというと堅苦しく感じるかもしれませんが、要は「使える英語を身につける」ということです。
今後、さらに加速するであろうグローバル社会に対応するためには「使える英語」が必要になってきます。
しかし、今までの様に英文を読んで訳し、単語や熟語、文法を覚える学習方法だけでは、実際の場面で英語を使える様にはなかなかなりません。


これまでのセンター試験だけでは、4技能のうち「読む」「聞く」までしか評価することが出来ません。
しかし、いくら4技能を評価したいとは言っても、大量の受験生が受けるために一つの試験だけで「話す」「書く」まで試験にすることが難しくなっています。
そこで外部試験が導入される流れになったわけです。
民間の資格、検定試験には面接などで「話す」、筆記試験で「書く」もきちんと試験の中に組み込まれています。





新大学入試では調査書も重要となってくることを知っていますか?部活をはじめとした高校生活の過ごし方をこちらの記事で解説しています。
まとめ
- 新大学入試の英語では「大学入学共通テスト」と「民間試験」が採用される
- 大学入学共通テストの英語は思考力、判断力が試され、リスニングの重要性も増している
- 英語の民間試験は7種類あり、英検が受けやすい
- 新大学入試の英語の対策は、シャドーイングが有効である
- 新大学入試では「使える英語」を身につけるという目的がある
変わることイコール難しくなるんじゃないかと、最初はどうしても思っちゃいますよね。
でも「どう変わるのか?」「なぜ変わるのか?」が分かれば、今後どういう勉強をすれば良いかが見えてきたと思います。
2020年の東京オリンピックを筆頭に今後はますますグローバル化が進み、「使える英語」が重要になってきます。
こちらの記事が新大学入試の対策になるのはもちろん、「使える英語」を身につけて将来の可能性を広げられるきっかけになれれば嬉しいです。