2020年度より始まる新大学入試では、調査書も重要になってきます。調査書と聞くと、真っ先に部活が思い浮かぶのではないでしょうか?
「しんどいけど部活をやめたら評価に響くかな?」「今は入ってないけど、調査書を考えて部活には入った方がいいのかな?」など気にになりますよね。
今回の記事は調査書を考えた上で、部活をはじめたとした高校生活をいかに過ごしていけば良いのかをまとめました。
INDEX
新大学入試と部活の関係性




といった不安な気持ちを抱えているあなた。結論から言いますと、
部活をやっているか、やっていないかはそこまで重要ではありません。
それよりも新大学入試では、部活だけではなく高校生活を通じて身に付けてほしい「ある姿勢」をみています。


- 「どの活動の評価が高くなるのか」
- 「活動成績は影響あるのか」
- 「どれくらい活動すれば良いのか」
このような不安、疑問に対しては、調査書評価の問題点でもあるのですが、調査書の評価基準がまだ決まっていないので、はっきりとした回答は今のところありません。(2019.4月現在)

となってしまいそうですが、曖昧な今の時点でも部活を含め、評価につながる学校生活を送るヒントは実はたくさんあります。
新大学入試で調査書の評価を導入することにより、高校生活を通じて受験生にどういう力を身につけて欲しいのか、そしてどのような人物像を求めているのかを考えてみましょう。
【新大学入試】部活だけでなく、大学が求めている人物像を知ることも大事

新大学入試では、調査書も評価の対象になり、面接、小論文、プレゼンテーションなども課される予定です。
これは受験生を学力だけではなく多面的に評価するためですが、その評価は各大学の「アドミッション・ポリシー」に基づいて行われます。
アドミッション・ポリシーって?


アドミッションポリシーとは、大学が設定した入学者の受け入れ方針のことです。「どのような人に入学して欲しいのか」という大学側が個別に求めている人物像が学部・学科ごとにまとめられています。
例として広島大学医学部医学科のアドミッション・ポリシーを見てみます。
入学前に学習しておくことが期待される内容
- 特に理科や英語の学習にしっかりと取り組んでいること
- ボランティアなどの社会貢献に取り組んだ経験があること
入学後には、学位授与の方針に掲げる能力、資質を身につけるように努力できる学生を求めている。
このように、どのような学生に来てもらいたいのかが明記されています。
志望校のアドミッション・ポリシーを把握し、求める人間像に近づける学習、経験を高校生活で積むことによって、より効率的に合格に近づけるとも言えます。


アドミッション・ポリシーには入学前に求めるものだけではなく、入学後に得られる能力も明記してあります。
各大学のアドミッション・ポリシーをしっかりと調べることにより、大学入学後に「勉強を頑張って入ったけどこんなはずはなかった」ということを未然に防ぐことができるでしょう。

アドミッション・ポリシーは各大学のホームページに記載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
広島大学のある広島産レモンもぜひチェックしてみてください。ビタミンCを摂ると風邪をひきにくくなると言われています。
新大学入試により、入試形態が変わる

「新大学入試では試験がどのように変わり」「大学入試が変わる背景には何があり」「なぜ調査書が見られるようになるのか」を説明していきます。

2020年度より大学入試制度が大きく変わりますが、どのように変わるのでしょうか?
- センター試験が廃止され、大学入学共通テストが実施される
- 学力試験のみではなく、調査書も活用される
2019年度(2020年1月実施)を最後にセンター試験が廃止され、2020年度(2021年1月実施)より大学入学共通テストが始まります。
大学入学共通テストの主な特徴は、一部の科目に記述式問題が課されることです。
また、2次試験においても今までの学力重視の試験に加えて、面接、プレゼンテーションも課されていく予定で、調査書も採点の対象になってきます。


記述式問題が新たに加わったり、調査書が活用される理由は大学入試制度が改革される背景が分かれば理解しやすいと思います。
大学入試が変わる背景
新大学入試が始まるにあたり、学力試験だけではなく、日頃の学習・活動記録である調査書も評価対象となります。
今後の社会の変化に対応していくため、ただ言われたことをやるだけの教育ではなく、個人が主体的にものを考え、判断し表現していく力が必要になると考えられています。
しかし、現在行われている筆記試験だけでは「主体性」を見ることは難しい。
そこで、高校生活を通じていかに主体性を育んでいたかを見られる、調査書が重要となってくるのです。
ただ、大学進学を考えている現役高校生はもちろん、これから高校に進学する方々にとっては「じゃあ具体的にどう高校生活を送れば良いの?」と不安になりますよね。


新大学入試はこちらの記事も合わせてご覧ください。
調査書がなぜ重要になってくるのか
大学入試が変更されるのは、文部科学省が掲げる学力の3要素をバランスよく育むという目的があります。
いままでの“暗記がすべて!”という詰め込み式の勉強だけでは、例えば大学の研究室や就職先の会社で、「何をすればいいか分からない」という、自主性の無い人間が育ってしまう危険性がありました。
それを危惧した経団連により、大学受験の形態を変えるよう、文部科学省に要請が行われたのです。
- 基本的・基礎的な知識技能
- 知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力 判断力 表現力など
- 主体的に学習に取り組む態度
今までのセンター試験、学力重視の筆記試験では、学力3要素の1番までしかまでしか判断することが出来ませんでした。
しかし、記述式の問題(設問・該当形式により、自分たちで解答を考えさせる形式)を答えることで3要素の2番を、調査書を確認することで3要素の3番を知るようになりました。
【新大学入試】調査書は生徒自身も作成する?

高校生の息子を持つIさんに登場していただき、よりリアルな疑問を聞いてみましょう。


eポートフォリオの活用
新大学入試では、高校生活における日頃の活動も評価の対象となってきます。
しかし、多忙な先生が、授業に加えて生徒一人一人の活動をこと細かく観察し、記録するのには限界があります。
また、大学入試時に提出する調査書や、自己PR書などは大学・学部学科・入試方式ごとに提出する内容や形式が異なることが想定されています。
そういった提出物を一つ一つ違った形で作成するのは大きな手間となりますが、この問題を解決するために開発されたのが「JAPAN e-Portfolio」です。


eポートフォリオは、紙ではなくネット上に日々の学びを記録していくものです。
授業のレポートや課題、部活や課外活動を通じての学習・活動記録を電子化し、そのデータを教員とも共有しながら、就職や進学に活かしていきます。
※IDなどが必要なので現役の高校生しかログインできません。




部活以外の活動って何があるの?
新大学入試から評価に加えられる「学習・活動記録」をeポートフォリオに日常的に入力していきます。
しかし、活動したことをただ記録していくだけのものとは捉えないように注意しましょう。
eポートフォリオは学力の3要素のうちの③主体的に学習に取り組む態度を見れるようにしています。
日々の活動から学んだことをしっかりと振り返り、次の活動に活かしていくことが大事です。

高校での活動といえば、部活動、委員会くらいしか最初は思い浮かばないかもしれませんが、他にも項目はあります。
- 探求活動(フィールドワーク、学校外の発表機会、論文作成など)
- 委員会活動(生徒会、委員会など)
- スポーツ活動(運動部の活動記録など)
- 文化・芸術活動(文化部での活動記録など)
- ボランティア活動(各種のボランティア活動)
高校3年間で様々な活動を通して、主体性を持って学習していく姿勢を身につけていくことが求められています。
こちらの動画でeポートフォリオについて詳しく解説してくれていますので、参考にしてみてください。


eポートフォリオでのキーポイントは「振り返り」と「自主性」
新大学入試では、受験生の主体性を見るために調査書も評価対象となりますが、調査書に加えてeポートフォリオによる学習・活動記録のデータも活用される予定です。
eポートフォリオは生徒自身が日常的に学校内外での活動から学んだことをサイト上に記録していくものですが、最大の狙いは「振り返り」を行うことにあります。
活動を通して上手くいかなかったことがたくさん出てくると思います。
それをただ記録して終わりなのではなく、「なぜ上手くいかなかったのか」を振り返り「そこから何を学び、次にどうすれば良いのか?」までしっかりと記録していくことが大切になってきます。
その記録が大学への「自主性」のアピールになり、評価につながるのではないでしょうか。
- 町の清掃活動に参加したが、他の人が清掃し終えた場所を気づかずにまた清掃してしまっていた。(問題)
- 黙々とゴミを拾うだけじゃなく、周りの人とのコミュニケーションが必要なんじゃないか?(気づき)
- 次はまずは挨拶を積極的にしてみよう。(改善策の模索・提案)
- 挨拶をしたらお話をしやすくなって、連携が取りやすくなった。あとコミュニケーションをとることによって先輩から色々と教えてもらえた。(改善したことによって得られたもの)
- 年が近い人とのコミニュケーションが多かったので、次はもっと年上の方にも挨拶してみよう。(次につなげる)
など


eポートフォリオによる「振り返り」は部活動だけしかできないわけではありませんし、結果を残せることが必ずしも「自主性」に繋がってるとはいえません。
部活以外でもeポートフォリオによる「振り返り」をしっかりと行えれば、自主性は身につけられます。
また、たとえ部活を辞めてしまったり、大会で結果を残せなくても「この経験から何を学んで、次にどう活かせば良いか」をしっかりと考えて記録できれば問題ないと思います。
活動・学習記録の評価基準が分からないので、これが絶対の正解だとは今の段階では言い切れません。
しかし、人生一回しかない高校生活を、大学受験にとらわれすぎて、やりたくないことを続けたり、やりたいことを我慢するのはもったいないです。
アドミッション・ポリシーも参考にしながら「振り返り」を行いつつ、いろいろなことにチャレンジしてください。
それが新大学入試の対策にもなりますし、高校生活をより充実したものにしてくれるでしょう。
eポートフォリオの活用方法の例です。参考にしてみてください。




【新大学入試】ていうか、そもそも調査書って何?

調査書は、生徒の3年間の学習成績、課外活動(部活動、ボランティアなど)を記録した書類で、基本的には先生が書いています。
これまで大学が調査書を求めていたのは、主に単位と欠席の確認をするためです。
要は受験資格のある「高校卒業」か「卒業見込み」かを証明するものであり、それ以外の情報はあまり重要ではありませんでした。
しかし、入試改革により受験生の学校生活が評価対象になっていくので、今後は活動実績を記入する欄が増え、項目別に詳細に記載する形になります。
今までは表裏の1枚だけで構成されていたのが、2枚以上にボリュームが増えていることが分かります。
ただ、こちらは先生が作成するものなので受験生自体に何か影響があるわけではありません。


【新大学入試】調査書 評価の問題点


2020年度より大学入試が大きく変わり、受験生がいかに「主体性を持って学習に取り組んできたか」を見るために、調査書も評価対象となります。
しかし、この調査書を評価する際の問題点があります。
まず、大きな問題点として挙げられるのは、活動記録をどう評価するのかです。
例えば、信州大学と東北大学が発表している、入試における調査書の扱いをみてみましょう。
- 個別学力試験で面接などを実施する入試では調査書は参考資料として扱う。
- 面接などを実施しない入試では、調査書を点数化し、大学入学共通テストの得点、個別学力検査の得点と合わせて入学者の選考に利用する。
調査書の活用は、合否ラインで志願者が同点で並んだ場合主体性評価が高い志願者を優先的に合格とする
簡単に言うと、信州大学は調査書を点数化し、東北大学では合否ライン上に同点で並んだ受験生の調査書を参考にして、より主体性評価が高い方を選抜するとしています。
しかし、調査書のボリュームが多い方が良いのか、また活動記録の内容がどうであれば点数が高いのか、そもそも公平に点数化できることなのか、など疑問が残るところです。
この点について、信州大学、東北大学ともに評価方法は今後発表していくとしています。



採点基準は決まっていませんが、あくまでも調査書は「主体的に活動する姿勢」を見るためのものです。そのためにも、eポートフォリをによる振り返り学習が重要だと考えられます。
調査書の扱いは大学によって違うので、志望大学の動向をチェックしておきましょう。
大学入試については以下の記事もぜひ参考にしてください。
【新大学入試】調査書から何をみようとしているのか?

調査書を受験の評価対象にしているのは、文部科学省が提唱する学力の3要素にある、「主体的に学習に取り組む態度」を見るためです。
グローバル化の進展、技術革新の進歩、少子高齢化による生産年齢人口の減少などで、社会の変化は今後さらにスピードアップされていくことが予想されます。
そんな予測不能な将来を生き抜くためには、自分の力で考え行動し、主体的に問題解決をしていく姿勢が必要となってきます。
新大学入試ではそういった「自主的に学習に取り組む態度」を調査書からしっかりと見ようとしています。




まとめ
- 部活をやっているかどうかはそこまで重要ではない
- アドミッション・ポリシーを理解して、大学側の求める人物像を理解する
- 入試が変わる背景には、学力の3要素をバランスよく育むという目的がある。
- eポートフォリオで生徒自身が学習・活動記録を作成する。
- 高校生活では活動を「振り返り」記録していくことが、新大学入試の対策となる。
- 学習・活動記録を公平に評価できるのかという問題点がある。
- 新大学入試では調査書から主体性を見られるようになる
新大学入試では調査書も評価の対象となっていきます。
これは、今後ますます加速化していく社会の変化に対応できるように「自主的に学んでいく態度」を高校生活で身につけて欲しいという狙いがあります。
勉強ももちろん大切ですが、部活をはじめとした学校内外の活動を通して、「自主性」をしっかりと身につけることを意識しましょう。
人生で一度きりの高校生活です。色々なことにチャレンジして悔いが残らない高校生活を送ってもらいたいです。
この記事を読んで、中学、高校生とその保護所の方が、不安、疑問を少しでも解消できていれば嬉しいです。